military.comによると、アフリカの武装勢力によるヨーロッパへの脅威が高まっています。
この記事は簡単に要約して紹介します。
最後の一月だけでも、イスラム武装勢力は、ニジェールの鉱山町からフランス国籍の5人とアフリカ人2人を拉致して起訴されました。先週土曜日にアルジェリアで起き、兵士5人を殺したトラック爆破も彼らの仕業とされます。イスラム・マグレブのアルカイダ(Al-Qaida in the Islamic Maghreb: AQIM)は、サハラ砂漠を支配して、アルジェリア政府を倒そうとしています。問題は、現在、それにどれくらいヨーロッパにその怒りを向ける力があるかということです。
フランスとアメリカの防諜当局者は、AQIMのロジスティクスとネットワークは、未だにヨーロッパの首都で攻撃を行うには十分に成熟していないものの、広範で絶え間ない脅威であることを示唆します。米軍はAQIMに抵抗するためにアフリカの軍隊を訓練するほど懸念しています。
フランス当局は、過激主義者のウェブサイトや郊外の貧困地域でお昆割れる私的な祈祷会の伝道者を通じてAQIMのとりこになった二重国籍を持つ者を監視しています。ヨーロッパ最大の北アフリカ人移民コミュニティに溶け込んだアルジェリア人の武装勢力は、2004年のマドリード爆破事件と、8人が死亡し、多数が負傷した1990年代のパリ地下鉄の攻撃に関係していました。
フランス防諜活動当局者は、最近アメリカが警告したパキスタンではなく、AQIMと結びついたテロリストがフランスの一番の脅威であると言います。ある当局者は、少なくとも6人のAQIMに関連した細胞が、ここ数年でヨーロッパの全域で破壊されたと言います。
フランス国家警察長官は、人で混雑する目標を爆弾で攻撃するAQIMの能力は疑わしいと言います。別の当局者はAQIMは内部抗争に直面していて、アルジェリア軍の圧力の下にあり、外部地域へテロを輸出するのは困難だと言います。
AQIMは、アルカイダがアルジェリアのGSPCというイスラム武装勢力を採用して、2006年に誕生しました。現在、GSPCは約400人の戦士をニジェールからマリとモーリタニアまでに抱えていると考えられています。彼らはアルジェリアで毎月、数十件の爆破、待ち伏せを行い、人質を取り、麻薬業者との結びつきを強めています。
AQIMの長期的目標は、北アフリカの向こうに拡大されたイスラム国家を建設することで、フランスとスペインを繰り返し脅しています。アルカイダも、アンダルス(al-Andalus イベリア半島のアンダルシア地方付近)の再占領が最優先事項だと言います。
AQIMには3人のボスがいます。アブデルマレク・ドロウケデル(Abdelmalek Droukdel)は、、北アルジェリアの全体的なボスで、アルジェリア政府との内乱中に地位を得ました。モクタール・ベル・モクタール(Mokhtar bel Mokhtar)は、アフガンで戦闘中に片眼を失ったので「片眼の族長(the one-eyed sheik)」として知られています。彼は犯罪組織との架け橋を設け、アウトローを引き入れ、地元の若者を入隊させて、AQIMの拡大を促進しました。アボウ・ゼイド(Abou Zeid)は、「南の首長」を意味するモサブ・アブデルオウアドード(Mosab Abdelouadoud)としても知られ、重要な誘拐犯として自身の役割を切り開いたとみられます。
AQIMがここまで大きな目標を持つとは思いませんでしたが、その能力と目標は、まったく釣り合っていません。実力からして、その目標を達成できるとは思えません。それでも、大規模テロを引き起こせば、被害は甚大です。そこに、この問題の特徴があります。
アンダルスという地名ですが、ここはイスラム文化の影響を強く受け、有名なアルハンブラ宮殿は、イスラムが当地を支配している間に建設されたものです。そこを再占領したいというわけです。こうした民族主義的な運動は、必ず過去の栄光を復活させようとする方向に向かいます。ヒトラーも、ローマ帝国に回帰しようとしましたし、アルカイダはイスラム教がシーア派とスンニ派に分裂する以前に戻ろうとしています。
冷戦が終わり、すでに大国が互いに戦争をする危険が相当程度に減ったことから、明るい未来が来ると思われたのは幻想でした。今後ずっと、イスラム武装勢力と欧米との戦いが続くことになります。アルカイダ、AQIM、ソマリアの海賊の問題は互いにリンクしており、その活動範囲の広大さを考えると、大幅な戦略転換が必要です。もう冷戦期の発想は捨てなければなりません。オバマ政権がイラクとアフガンから撤退するという選択は、この点でも正しいといえます。今後は、軍隊をスリムにし、小型化して運用していく必要があります。現在の米軍改革はそれに向けて動いているように思われます。
軍事的な手法だけでは、目の前の問題視か解決できません。過激なイスラム主義者を穏健派に転換していく作業が必要です。アフリカの貧困を解決することで、犯罪やテロに加担する者が減る方策も必要です。こうした政策を総合的に行っていく度量が、各国政府に必要です。
日本の民主党政権は、この難しい時代を正しく舵取りしていく能力を持っていません。しかし、それは自民党政権を仮定しても同じでしょう。幸いにして、日本はアルカイダの攻撃範囲から遠く離れています。それを幸いに権力闘争だけに精を出していると、影響が目の前に及んだときに狼狽えることになります。