military.comによれば、アフガニスタンで、タリバンがRPGで米軍ヘリコプターを撃墜し、アフガン人通訳1人が死亡し、ISAF隊員7人、アフガン国境警察官1人が負傷しました。
事件に直接関係する部分を簡単に紹介します。
事件はクナール州(Kunar province)、マラワラ地区(Marawar district)、ガッシュ区(Ghash area)で起こりました。撃墜されたCH-47「チヌーク」ヘリコプターには26人が乗っていました。ヘリコプターは前哨基地に着陸した直後で、RPGが貨物室の中に撃ち込まれた時、後部ランプを通して荷下ろし中でした。NATO軍と米軍は、兵士の輸送、補給において、ほとんどの道路が貧弱で、武装勢力の攻撃に対して弱い国土全域でヘリコプターに強く依存しています。この事件に関して、タリバンが犯行声明を出しました。
この手の攻撃は過去にも例がありますが、今回は着陸中に攻撃を受けています。
着陸地点は小銃やRPGで攻撃されないように、周囲300〜500mを警備できる場所に設けられます。警備とは、着陸地点の範囲を容易に視認できるとか、兵を配置して敵がいないことを確認できることです。人員や物資の搬送で臨時に着陸するところは別ですが、前哨基地ならば、この程度は見通せる場所に造られる必要があります。そうしないと、始終、武装勢力が基地に接近し、攻撃して逃げることになります。しかし、今回はそうした措置が取られているはずの場所で攻撃を受けました。
特に、荷物を下ろす最中に事件が起きたのが気になります。場合によっては地上すれすれにホバリングして、小型の荷物を落として、すぐに飛び去るという方法もありますが、CH-47は後部ランプを開けるので、大型の荷物を運ぶのに向いています。この事件時の荷物も、そうした大型で、積み卸しに時間がかかるものだったと想像できます。それだけに周辺の警護は十分に行われる必要がありました。もし、基地内から確認しにくい場所があるのなら、事前に砲兵隊に砲撃してもらい、そこに誰もいなくなったことを保証できるようにすべきでした。米軍には、ヘリコプターの着陸地点を砲爆撃の支援が届く範囲に設けるというドクトリンがあります。
RPGがどれくらいの距離から撃たれたかは記事に書かれていませんが、防衛線の外縁から撃たれたのか、警備しているアフガン軍の中にいるタリバンと通じる者が撃ったのかが気になるところです。
それから、この記事には、なぜかカンダハル戦のことが書かれています。クナール州は東部に位置し、なぜ南部のカンダハル戦について触れているのかは不明です。この中で、次の部分が気になりました。
国際赤十字委員会は、8〜9月に、カンダハルのミルワイス地区病院(the Mirwais Regional Hospital)に、武器に関連する負傷者約1,000人が登録され、これは昨年同時期の2倍近くだと言います。
これは戦闘が激化して、民間人に犠牲者が増えていることを示す記事です。しかし、戦闘の様子は最近、ほとんど報じられていません。こういう時は、戦闘がうまく行っていない時です。報じる材料がないから、記事が書かれないのです。いま、各部隊がどこまで前進しているのかを、私は明確に確認していません。何人かの武装勢力や彼らの指揮官を殺害したという報道はありますが、そうした報道はいつものことで、タリバンが外国人も含めた援軍を得られていることから、戦果との関係は薄いと考えています。戦況を知る上で重要なのは、掃討部隊がどこまで前進したかです。カンダハル市内に入ったのか、西端に取りついたばかりなのかで、話は大きく変わります。私の予想では11月までの掃討完了は無理です。