アウラキが国防総省の昼食会に招待!

2010.10.22

 military.comによれば、アルカイダの指導者アンワル・アル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)が、2001年9月11日の同時多発テロの数ヶ月後に国防総省が主催した昼食会に招かれていたことが分かりました。

 軍広報官デーブ・ラパン大佐(Col. Dave Lapan)は、アウラキは同時多発テロ後、国防長官がイスラム社会に接触する努力の一環として国防総省に招かれたと言いました。「これまでのところ我々の理解は、これが9/11の余波の中で、イスラム社会のよりよい理解を得るための努力の中で国防長官官房のスタッフが行った支援活動だったということです」。軍将校と防衛当局者との昼食の報告は、最初に「Fox News」で報じられました。それはFBIの書類と情報源を引用しました。

 国防総省の職員は昨年、バージニア州アレキサンドリア市でアウラキの演説を聞いたあとで、彼の招待を手配するのを手伝ったとFBIに言いました。FBIの書類によると彼女は「このイマムに感銘を受けたことを思い出します。彼はアルカイダとテロリストの攻撃を非難しました」(FBIの書面はこちら)。

 当時の陸軍長官は穏健派のイスラム教とに国防総省の聴衆に話してもらうことに関心があったとFBIの書類は言います。アウラキは9/11攻撃のあとで、ハイジャック犯の一部と関係があったため、FBIの調査を受けました。しかし、昼食への招待を承認した国防総省当局者は、アウラキに対するFBIの関心を知りませんでした。国防総省の職員は、フォート・フッド基地で13人が殺害された事件の後で、FBIの尋問を受けました。アウラキはこの事件の犯人ニダル・ハサン少佐(Maj. Nidal Hasan)と電子メールを交換していました。

 「Fox News」の元記事によると、アウラキは演説の最中に聴衆にヤジを飛ばされ、困っていたと書類は言います。アウラキはイスラム社会の「有望な」メンバーだと考えられていました。彼女が身元調査をしたあとで、アウラキは国防総省の陸軍長官官房の法律顧問(the secretary of the Army's Office of Government Counsel)の昼食会に招待され、参加しました。

 FBIのアウラキに関する情報は国防総省とはまったく共有されませんでした。当時の陸軍長官トミー・ホワイト(Tommy White)は、昼食会をまったく憶えておらず、アウラキとのいかなる接触もないと言いました。「これが法律顧問の昼食会だったとしても、私は必ずしもそこにいるわけではありません」と彼は言いました。

 10月13日にはじまった調査に関する度重なる要請のあとで、陸軍広報官は昼食会が陸軍のイベントではなかったことを示唆しました。「陸軍は、陸軍がこの記事に記述されるイベントを発起したり、参加した証拠を見出しませんでした」とトーマス・コリンズ(Thomas Collins)は言いました。コリンズはFBIの書類の「Office of Government Counsel」は「Office of General Counsel」と読むべきだと指摘しました。また、このイベントは国防長官が発起したと考えていると言いました。元FBI高官は、アウラキが昼食会に行った時点で、国防総省には身元調査に関する相当な傲りがあったと「Fox News」に言いました。「彼らは政治的に人々を調べ、その他の安全と情報の助言に対する無関心を示しました」。


 最初に言葉に関する混乱を説明します。

 「Government Counsel」という部署・役職は陸軍長官官房にはありません。これはコリンズ氏が指摘するように「General Counsel」のことだと思われます(Wikipediaによる陸軍省の組織図はこちら)。「Government Counsel」は国防総省の官房にもありません。FBIも間違えることがあるのです。「General Counsel」は企業や政府機関において法務部門の責任者である法律家を意味します。そうだとすると、ここが昼食会を発起することは考えにくいようにも思われます。実は、「Government Counsel」というピンと来ない言葉を確認するため、私はかなりの時間を使いました。先に記事を最後まで読めばよかったのですが…。

 これはびっくりするような話です。アウラキは急進的なイスラム聖職者で、CIAの殺害・拘束すべき目標としてリストに含まれている人物であり。アメリカに対する主要なテロ攻撃で、犯人たちの精神的な基盤となりました。

 しかし、こんな調子だから国防総省に航空機が突っ込むのを止められないのでしょう。巨大な官僚組織は、案外と情報から阻害されているものなのです。

 アウラキの身元調査は氏名不詳の国防総省職員が行っただけだったのかが気になります。一回演説を聞いて、それで思想傾向を判断しただけだったのなら、随分と性急に昼食会が計画されたように思えます。同時多発テロ直後、ブッシュ大統領がモスクに赴いたりして、イスラム教と一般に対する攻撃を避けるべきだと発言したりしました。当時、私は外国事情に疎いブッシュ大統領こそ、人種や宗教に対して強い偏見を抱いていると感じており、こうした動きを冷ややかな目で見ていました。こうした政府の動きの中で、急いで昼食会が計画され、こうした失態を招いた可能性があります。もし、国防長官の昼食会だったのが本当なら、これは本当に傑作です。あのドナルド・ラムズフェルドとアウラキが同席していたら洒落になりません。



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