military.comによると、「WikiLeaks」が開示した書類は、ブッシュ政権時に行われた尋問と監禁が、それを禁じたオバマ政権になってからも一部で行われていることを示唆しています。
オバマ大統領が政府職員にジュネーブ条約に従えと命じてから丁度2週間後、2009年2月9日に報告された軍情報部門の報告から漏洩した書類の中で、イラク人がバグダッドの自宅で連合軍に逮捕され、協力しなければ、イラク軍に引き渡すと言っています。書類によれば、抑留者は、彼が殴られ、電気ショックを受けさせられたイラク人に引き渡されました。アメリカの尋問官も、彼がイラク軍から虐待された兆候があったのに、尋問を承認しました。
2009年4月2日、バグダッドに拠点を置く米軍尋問・監禁チームによる報告書の一つは、イラク軍の手で行われた一日中続いた拷問の一部として、手足を縛られ、シャベルで叩かれたと主張する囚人の主張を要約しています。報告書は彼が足の後部にロープの摩擦による火傷と鼓膜が破れている可能性を含む軽傷を持っていると指摘しています。2009年4月の2番目の報告書は、ツルハシで殴られてできた痣と傷を隠蔽されたイラク人の抑留者を描写します。両方の事例で、アメリカの尋問官によって、ジュネーブ条約に違反する尋問が承認されました。
2009年5月の報告書は「虐待の兆候あり。抑留者の尋問を医学的に承認」と書いています。
昨年5月、米軍憲兵旅団の報告書は、彼らが2人のイラク人の囚人を発見し、その内の1人は彼は酷く殴られて血尿が出ると言いました。米軍将校は彼に治療を与えようとしましたが、イラク軍は拒否したと報告されています。
2009年9月の報告書は、イラク軍施設を調べた米軍が、2つの黒ずんだ目、かさぶた、痣のある抑留者を発見したと説明しています。首は赤色と黄色になっていた報告書は抑留者が供述を引き出すために電気ショックを与えられたと書いています。イラク軍は彼は逃げようとして怪我をしたと主張しました。
イラクのヌーリ・アル・マリキ首相(Prime Minister Nouri al-Maliki)は土曜日に、緊張を起こそうとしていると「WikiLeaks」の創始者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)を非難しました。
公開されたファイルには米国と同盟国が直接抑留者を虐待したという証明がない一方で、オバマ大統領が行政命令に署名したあとで、連合軍が捕虜虐待で訴えられた申し立てが少なくとも4件ありました。そうした事件の一つは、昨年イラクのモスルで、兵士が抑留者の首を絞めて、彼の家族を殺すと脅しました。
記事は要点だけを紹介しました。
実は、ボブ・ウッドワードの「Obama's Wars」に、オバマ大統領がCIAに拷問を禁じた経緯が描かれています。就任式の前、CIA長官マイケル・ヘイデンが、まだ大統領当選者のオバマに現在行われている13種類もある拷問の方法、つまりはブッシュ大統領が承認した方法をブリーフィングしました。ヘイデンは拷問の必要性を認識しており、継続を承認してもらうためのプレゼンテーションをします。オバマはほとんど何も言わず、話を聞くだけなのですが、大統領になってから拷問を禁じました。CIAは米陸軍のフィールドマニュアルに従うことになったのです。
この指示は特別の意味を持ちます。アメリカはジュネーブ条約の第1〜第4条約に加盟しています。第3条約は捕虜条約で、この中に自らの手中に落ちた敵戦闘員の扱いが定められています。当然ながら、ジュネーブ条約は拷問を禁じています。よって、米軍は拷問を行わず、陸軍のフィールドマニュアルも拷問を禁じています。CIAに拷問を止めさせるには、これは最も効果的な方法なのです。
しかし、その後もイラク軍が拷問を行い、米軍が半ば黙認している様子が公開された情報によって明らかになったわけです。現場レベルでは、こんなものかも知れません。米軍が拷問を行っている事実は明らかではありませんが、イラク軍の拷問を止めないのも問題視されるべきです。また、イラクは重要度が低くなったために拷問が減ったと言えますが、重要度が依然として高いアフガニスタンでは、先日報じられたように、米軍自身が抑留者を拷問している可能性があります(関連記事はこちら)。
それにしても、最近発表された大統領の支持率を見ると、オバマ大統領への風当たりの強さには驚かされます。オバマ政権が抱える問題の大半はブッシュ政権が作ったものです。その回復には、少なくとも大統領には1〜2期が必要で、特にアルカイダとの戦いはオバマ政権だけで終わる問題ですらない、長期的な問題と見積もるべきです。それなのにアメリカ人は,もう結論を出そうとしています。「倫理的欠陥を持たない大統領は、アメリカ人にとって物足りないのか!」と言いたくなるほどです。