カルザイ大統領の発言にペトラエス大将が失望

2010.11.16

 military.comによれば、デビット・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)は、米軍の活動を縮小すべきだというハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)の発言に失望したと述べました。

 先日、military.comは、カルザイ大統領のこの発言を報じていました。その要旨をざっとまとめました。

 「軍事活動を縮小するときに来ました」「アフガニスタンにおける地上軍の駐留を縮小するとき、アフガン人の日常生活へ押し入るのを減らすが来ました」とカルザイ大統領はワシントン・ポストのインタビューでインタビューで述べました(記事はこちら)。カルザイ大統領は、3ヶ月前にタリバンの極めて高いレベルの指導者1〜2人に会いましたが、和平交渉は和平の希望を交換できた程度の初期段階にあると説明しました。しかし、彼はタリバンの指導者ムラー・オマル(Mullah Omar)にこの議論が知らされていると考えています。カルザイ大統領は9年間の戦争があまりにも高い犠牲をアフガン人に強いたという彼の感覚をタリバンが共有していると言いました。「彼らは、あまりにも多くの人々が理由なく苦しんでいると、我々と同じように感じます」「彼らの家族は苦しんでいます」。カルザイ大統領はアフガン人を苛立たせ、タリバンを強化し得る特殊作戦軍による沢山の夜襲を終わらせるべきだと言いました。彼は米軍が道路から離れ、家から出ることを望み、多くの外国兵が長期間駐留することは戦争をより悪化させるだけだと言いました。「私やアフガン人は、いかなる方法でも、それが好きではありません」「我々は家への急襲が好きではありません。これは我々とアメリカの問題であり、私はできるだけ早くにこれが終わることを望みます…テロリズムはアフガン人の家を襲いませんし、テロリズムと戦うことはアフガン人の日常生活に押し入りません」。

 これに対して、NATO軍と外交当局者は、今週行われるNATOサミットで、減ってきている国際的な支援を維持する努力を台無しにする恐れがあると、ペトラエス大将は失望したと言いました。彼らはNATO軍は連行軍の戦略にカルザイ大統領が同調するという保証を受けていて、国際部隊は彼の懸念の一部に対処するよう取り組んでいたと言いました。カルザイ大統領の広報官ワヒード・オマル(Waheed Omar)は、大統領はペトラエス大将を信頼しているのは明白で、スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)がいなくなってからは、状況は好転していると言いました。

 リンジー・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は、まったく驚いたと言いました。彼は先週、議会代表団の1人としてアフガンを訪問し、カルザイ大統領に会いました。その時、大統領は夜襲の話を持ち出しませんでした。

 連合軍の交換は、NATO軍の襲撃は過去18ヶ月間で6倍に増加し、アフガン軍との完全な協力の下で行われていると言いました。彼は連合軍は軍事活動に関するカルザイの懸念を共有していると言いました。しかし彼は、高い価値を持つ武装勢力とネットワークへの緻密な作戦は、広範な民間・軍一体の対武装勢力作戦の主要部分だと言いました。


 ごく簡単に記事を要約しました。

 この記事からは、マクリスタル大将が夜襲を好んで使ったことが分かります。もともと、マクリスタル大将はイラクでそうした活動を行い、2006年にイラクでアルカイダの指導者アブ・アル・ザワヒリを殺害したのも、彼のチームでした。彼らは夜間に狙った敵の重要人物を暗殺して回ったのです。だから、彼が夜襲を好んだとしても、不思議とは思いません。マクリスタル大将は民間人に犠牲が出る空爆を制限しましたが、夜襲を増やしたのではアフガン人を味方につけることはできなかったかも知れません。

 しかし、ペトラエス大将が着任してから状況が好転しているという意見もあることから、彼が夜襲を減らしているらしいことが分かります。それでも、完全になくなったわけではなく、アフガン国民から不満が出ているのです。確かに、夜中に近所で銃声がして、安心していられる人はいないでしょう。

 カルザイ大統領が突然、外国部隊を批判することは、過去にも繰り返されてきました。それも、タイミングの悪いときに言うことが多いので、その度にアメリカは苛立ってきました。理解しにくくても、そういうアフガン人を理解するしかないのです。



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