空中炸裂弾でアフガン戦況は好転するか?

2010.11.17

 いたいけな軍事オタクの心を熱くしてきた兵器「XM25」のテストと訓練がアフガニスタンで始まりました。

 軍事オタクなら、「XM25」については知っているでしょうが、記事から性能を簡単にまとめます。

 対遮蔽位置照準交戦システム(Counter Defilade Targeting Engagement System)という名称を持つXM25は、簡単に説明すると、隠れた場所にいる敵も攻撃できる、自己誘導型の装弾を使うグレネード・ランチャーです。

 XM25の大きさは標準的な軍用ライフル銃よりも少し大きいくらいです。口径25mmの装弾は、目標の前や後ろで爆発するようにプログラムできます。この兵器は、兵士が壁やその他の遮蔽物に隠れた敵を、最大700m離れた壁の上や横を撃つことで殺せるようにします。

 射撃の手順は、レーザー距離計とその他の大気センサーを含む2倍の望遠照準器「目標捕捉射撃統制ユニット(the Target Acquisition Fire Control Unit)」と共に始まります。レーザー距離計は、敵や彼が隠れている壁までの距離を測ります。それから、ユニットは距離、目標の仰角、大気の状態による弾の落下を補正します。照準器の中には、距離、調整されたクロスヘア(照準用の十字形)、熱線暗視映像などの情報が表示されます。

 照準が決まると、射手は目標の前と後ろのどちらで弾を爆発させるかを、1m単位で決めます。

 弾の中のマイクロチップがその情報を受け取り、弾に爆発する時を教えます。弾は射手から安全な距離まで離れないと起爆できるようになりません。

 射手は弾を目標の上か横に撃ち、空中炸裂弾は敵の隣で、手榴弾と同じ殺害範囲で拍手します。射手はすべての手順を5秒間で行えます。

 XM25はアフガンで第101空挺師団によりテストされていますが、正確な場所や部隊は公表されていません。

 陸軍はXM25を2012年から、単価25,000〜35,000ドルで、12,500丁以上購入する予定です。これは、陸軍の歩兵分隊と特殊部隊チームに1丁配備するのに十分です。

 さらに、装甲を貫通する弾、ドアに大きな穴を開けて破る弾、破片を撒き散らさない弾、催涙ガス彈が開発されています。


 先日の記事で紹介したように、タリバンは頑丈な泥の壁に「殺しの穴」と呼ばれる銃眼を設け、そこから身を隠しながら攻撃してきます。そんな時にXM25が威力を発揮するというわけです。アメリカらしいハイテク兵器です。

 分隊レベルに配備するということは、分隊支援火器の他に、XM25の要員を置き、指揮官の指示で運用する形になります。小銃手1人がXM25の射手に置き換えられる形です。

 しかし、これも屋根のある家屋に武装勢力がいる場合は、効果が薄くなります。威力も手榴弾程度ですから、そんなに強力でもありません。記事は「game changer」という書き方をしていますが、歩兵戦闘を多少有利にするだけだと思われます。

 高額の兵器であることもあり、大量購入は大きな出費でしょう。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.