昨日、中国が午後5時半に重大発表をすると告知したので、何を言うのかと思っていたら、武大偉朝鮮半島問題特別代表が6ヶ国協議を再開する提案しました。これこそ北朝鮮が求めていたことです。
military.comもこのことを報じていますが、ほとんどが日本でも報じられていることなので省略します。
誰もが考えることだと思いますが、ここで協議の再開に応じたら、北朝鮮は目的を達したことになります。テロを起こして外交交渉を始めるという、これまで繰り返された北朝鮮の手口を承認することになります。
延坪島への砲撃が、韓国とアメリカを会議に引っ張り出し、援助を引き出すためだったことは最初から分かっていたことでした。武大偉代表は「私が強調したいのは、今回の会合は6か国協議の再開を意味せず、協議再開のための環境づくりに役立つことを期待するものだ」と言いますが、最終的には6ヶ国協議の再開を狙っているのです。先日、中国がボズワース特別代表に、アメリカが北朝鮮と対話しないから事件が起きたと文句を言ったのは布石であり、最終的には協議を再開したいという意図の表れです。中国が北朝鮮の砲撃を非難してみせたのはポーズに過ぎません。
中国と北朝鮮がどこまで連携しているのかを知るのは、この問題を考える上で重要です。中国は北朝鮮をコントロールしているつもりで、逆にコントロールされているようにも見えます。しかし、この関係は常に謎に包まれています。
すでに韓国は中国の提案について「非常に慎重に検討されなければならない」と声明を出し、消極的な姿勢を示しました。日本も韓国とアメリカに足並みをそろえるとしています。ここで日本が協議再開に賛成を示すのは日韓米結束の空中分解という最悪の結果を招きます。こういう時に自分から手を挙げないという日本人の特質が、例外的にうまく働きそうです。
協議に出たところで、北朝鮮の独演会になるのは目に見えています。北朝鮮は韓国軍が領域内を砲撃したので応射したと主張します。民間人の犠牲については、我々は最初から謝罪しているではないかと言い、この程度の付帯被害はアメリカがイラクやアフガニスタンでやっているではないかと臭わせます。中国は韓国やアメリカが支援してくれれば、自分に要求される分も減るので、北朝鮮の味方をします。彼らにすれば、緩衝地帯が残ってくれればそれでよいのです。
「支援」が北朝鮮の狙いであることを忘れず、どんな甘い言葉にも騙されないことです。