military.comによると、有権者が退役軍人の共和党候補者を支持した後で、現在進行中の戦争経験から得た退役軍人議員の数は昨年の2倍以上になります。
少なくとも退役軍人の共和党候補者8人が議席を得ました。イラクとアフガニスタンに一時的に派遣された経験を持つイリノイ州のマーク・カーク(Mark Kirk)はオバマ大統領が座っていた席を獲得しました。
しかし、民主党の退役軍人は同じように行きませんでした。議会に最初に選出されたイラク戦争の陸軍軍人ペンシルベニア州のパトリック・マーフィ下院議員(Patrick Murphy)、オハイオ州の空軍予備役ジョン・ボッチェリ下院議員(John Boccieri)は再選に失敗しました。
2006年に初めて当選したマーフィーは、最初の任期中にイラク戦争に激しく反対し、ここ数ヶ月は聞かない・言わない法を撤廃する努力において議会を主導しました。
彼の対立候補、元議員のマイク・フィッツパトリック(Mike Fitzpatrick)は、ペンシルベニア州の失業ではなく、マーフィーの軍における業績の小ささに焦点を置きました。全国の出口調査では、有権者の62%が経済問題を最大の問題だと言い、アフガニスタンと安全保障が最重要だとしたのは7%のみでした。
イラク派遣の経験を持つ他3人の民主党候補者も議席を失いました。しかし、これらの損失にも関わらず、共和党の勝利は軍歴を持つ議員を増やしました。
現職の2人の下院議員、イラクとアフガンに派遣された退役海兵隊員のダンカン・D・ハンター(Duncan D. Hunter)、イラク派遣の経験がある退役海兵隊員マイク・コフマン(Mike Coffman)は簡単に再選されました。2人とも下院軍事委員会のメンバーで、共和党の防衛議論の中心です。
オハイオ州中部、ボッチェリの隣の選挙区では、共和党のスティーブ・スティバーズ(Steve Stivers)が民主党のマリー・ジョー・キロリー(Mary Jo Kilroy)を打ち負かしました。スティバーズはイラク、クゥエート、ジブチで、戦闘外の役割で派遣されました。
イラクで3回、アフガンで2回の派遣がある空軍大尉のアダム・キンジンガー(Adam Kinzinger)は、イリノイ州第11区で民主党の現職、デビー・ハルバーソン(Debbie Halvorson)に勝ちました。
イラクで4度の派遣経験がある陸軍大佐、クリス・ギブソン(Chris Gibson)は、ニューヨーク州第20区で現職のスコット・マーフィー(Scott Murphy)を追い出しました。
2年前にロン・クレイン(Ron Klein)に負けたアレン・ウェスト陸軍退役中佐(Allen West)は、再戦で彼に勝ちました。ウェストは2003年にイラクに派遣されましたが、尋問中にイラク人抑留者の近くで拳銃を撃ち、強要した件で軍が彼を処罰した後、2004年に除隊を強いられました。彼は完全な給付を受けられる形で退役しました。悪行を認めながらも、彼は情報は他の兵士の命を守ると言って、事件について謝罪していません。
2006年にイラクに派遣された陸軍予備役ティム・グリフィン(Tim Griffin)は、アーカンサス州第2区で議席を勝ち取り、2008年にイラクに派遣された陸軍予備役大佐ジョー・ヘック(Joe Heck)は現職のディナ・タイタス(Dina Titus)に勝ちました。
海軍予備役のカークは、それぞれ1ヶ月に満たない、2度のアフガン派遣期間を過ごした軍歴を誇張したという批判を受けました。
それでも、その軍歴の要約は、類似したイラク派遣を持つ空軍予備役で、サウスカロライナ州のリンゼイ・グラハム(Lindsey Graham)を除けば、在職中の上院議員で最新の戦争体験です。
記事の締切の時点で、アリゾナ州第8区で、イラク帰還兵が関係する選挙が接戦です。元海兵隊のジェシー・ケリー共和党候補(Jesse Kelly)が現職のガブリエル・グリフォード(Gabrielle Giffords)を2,500票差で追っています。
「Iraq and Afghanistan Vets of America」の上級理事ポール・リックホフ(Paul Rieckhoff)は、真新しい退役軍人がかくも多いこの選挙を、帰還兵の問題を議会で光を当てる新しい機会だとしました。
「ワシントンのこんなに多くの新しい声と共に、我々の問題と進歩がなされるための多くの教示があるでしょう」「しかし、新しいメンバーを、イラクとアフガンの帰還兵のための強力なリーダーとして立てるよう着手する絶好の機会でもあります」。
中間選挙では、定員100人の上院が議席の3分の1(今回は37議席)を、定員435人の下院が全議席を改選します。
記事中で勝敗が不明の「ケリー対グリフォード」ですが、グリフォードが当選しました。余談ながら、ボブ・ウッドワードの「Obama's Wars」に、大統領就任式を控えたオバマ氏が、副大統領になるジョー・バイデン氏にアフガンに行き、カルザイ大統領と会談するように指示します。その際に、共和党の議員を連れて行くとよいと言います。おそらく、選挙が終わり、アメリカは一つに団結したままだという印象を与えるためでしょう。その時にバイデン氏が躊躇なく選んだのがグリフォード氏です。
選挙の結果については、ワシントン・ポストの特集が分かりやすいと思われます。下院、上院、州知事、それぞれに結果がグラフとイラストで示されています。
ポール・リックホフは、このサイトで何度も紹介している元軍人の活動家です。彼はこの選挙結果を一つのチャンスと見ているようですが、多くの有権者が安全保障問題よりも経済問題を優先させたのに元軍人が多く当選した点に考察が必要と思いました。しかし、候補者それぞれの活動を詳しく知るわけではないので、一般論に限定して考えます。
今回は共和党が退役軍人を大勢立候補させるという、民主党がかつて成功させた方法で勝利しました。それはイラク戦争に対する反対のためで、共和党から民主党に鞍替えした候補者すらいました。しかし、今回はイラク戦争を主導した共和党が元軍人を擁立して成功したのです。この遅れた方針転換に対して、不満を持つ有権者が飛びついたように見えます。やはり個人よりも政党がアメリカの有権者の投票の基準なのかも知れません。退役軍人の議員が増えて、難しい経済問題を解決しやすくなるわけはなく、この辺に人間の選択の複雑さを感じさせられます。
時間がないので、議員のウェブサイトへのリンクは省略しました。しかし、氏名を使って簡単に検索できますから、チェックしてみるのがよいでしょう。アメリカの政治を知るには、それは非常に効果的な方法です。