military.comによれば、アフガニスタンの情報部(the Afghan National Directorate of Security)で長官を務めた、アムーラ・サレハ(Amrullah Saleh)は、ジェームズタウン財団(the Jamestown Foundation)テロリズムをテーマとする年次大会のためにナショナル・プレス・クラブで講演を行い、先に反政府グループを武装解除しない限り、タリバンとの和平協議は大失敗になると言いました。
2004年から今年6月までアフガニスタンの情報機関を率いたサレハは、タリバンとの和平の鍵はパキスタンから彼らへの支援を断ち切り、通常の政党として活動するのを認める前にグループを武装解除し、解体することだと言いました。彼はアメリカの侵攻以前に、ほとんどがタジク人の北部同盟(Northern Alliance)にいました。
彼の主張を簡単にまとめました。
- 「彼らを解散させ、彼らを武装解除し、パキスタンの情報機関の基盤から彼らの司令部を取り出すのです」
- 「タリバンを民主主義の脚本に従わせるのです」
- タリバンは、銃や脅迫ではなく、法が支配する国では最終的に失敗すると予測します。
- 武装勢力の指導層をその領土内で追跡したり、任務を行うために米軍を派兵すると脅すために、アメリカがパキスタンに2011年7月の最終期限を与えなければなりません。
- パキスタンの支援を断ち切るのを失敗すると、タリバンが和解するふりをするのを許し、NATO軍が撤退したあとで権力に舞い戻ります。
- 米軍は今年行われた増派は、一部の地域を鎮圧する「一時的な効果」を達成しましたが、「基本」を変えることはできませんでした。
- 「タリバンの指導部は拘束できなかったり殺せなかったりしました」
- 「アルカイダは打倒できませんでした」
- 「現在の戦略は依然としてパキスタンが誠実か、少なくとも半分は誠実だと考えています」
- アフガンでの影響力を維持するために、パキスタンはタリバンやその他の代理人たちを支援し続けると予測します。
- アフガンの少数派と連帯するタジク人は、カルザイがタリバンと取引をしたら、別の内戦を起こすと警告してきました。
- カブールは国の他の場所と接触せず、NATO軍と頻繁に公に争ってきました。
サレハは6月の和平会議に対する攻撃を阻止できなかった件で、内務大臣と共に辞任しています。この攻撃は阻止され、誰も傷つきませんでしたが、両者は責任をとったようです。
やはり、パキスタンの支援が問題だという点が重要に思えます。かねてから、パキスタンはアフガンを混乱させるために、その影響力を行使してきたと言われています。サレハが所属した北部同盟を指揮し、同時多発テロの直前に暗殺されたアハマド・シャー・マスード(Ahmad Shah Massoud)も、パキスタンの影響力がアフガンが自立できない理由だと考え、それを止めることを目標にしていたといわれます。外国人記者を装ったテロリストがマスード将軍に接近し、カメラに仕込んだ爆弾を爆発させ、数時間後に彼は死にました。テロリストはアルカイダの工作員で、アフガンを支配するのに邪魔だったマスードを殺害し、さらにアメリカとの戦争を始めたと考えられています。事態は当時とまったく変わっていません。
この講演にはパキスタン政府当局者も参加しており、講演のあとでサレハに、テロとの戦いでパキスタン情報部が550人もの犠牲を払っている事実を尊重しているかと彼に尋ねたと記事は書きます。実は、この事実はパキスタンがタリバンと戦っていることを意味しません。ボブ・ウッドワードの「Obama's Wars」の中に、アフガン・パキスタン問題を担当するブルース・ライデルの言葉として、パキスタンは「スポンサー、犠牲者、隠れ家を同時にすべてやるという、複雑で統合失調症的なテロリストとの関係を止めなければならない」という意見が紹介されているのです。この理解しがたい関係はすでに公然の秘密であり、パキスタンはそれで世界を説得できると思うべきではありません。
一方、北部同盟にも疑問があります。マスード将軍は清廉潔白な人物として知られていました。マスードの葬儀を撮影したビデオを見たことがありますが、参列者は「我々はマスードの道を行く」と言っていました。しかし、北部同盟が担った現在の政権は腐敗にまみれており、それが大衆のタリバン支持の原因となっています。私はこのギャップを未だに埋められずにいます。確かに、北部同盟にも様々な人物がおり、ラシッド・ドスタム将軍は凶暴で危険な人物とされます。それにしても、ギャップが大きすぎます。
こうした理解できない関係が、アフガン問題には横たわっています。これが、この問題を解決しがたい理由なのです。