中央日報に興味深い記事が掲載されました。北朝鮮が延坪島砲撃事件を引き起こしたのは、中国の態度に理由があるという論説です。
重要な部分をそのまま引用します。
【時論】「戦争ビジネス」で利益を得ようとする北朝鮮
天安(チョンアン)艦事態を契機に、北朝鮮と中国は2度の首脳会談を通して両国の密着を誇示した。金正日(キム・ジョンイル)は4年ぶりの訪中で、中国から大々的な軍事的・経済的援助を受け、すべてを一度に解決できると期待した。これに金正日は数十機の最新型戦闘機、約300億ドル相当の経済協力支援、毎年原油100万トンとコメ100万トンの緊急支援などの「請求書」を出したと伝えられている。ところが中国は援助や支援に対する明確な約束もなく、中身のない言葉だけを並べた。また中国側は金正日に13億人の中国人民も飢えていないのに、2000万人の住民を養えないのかと詰問したという。さらに温家宝首相は改革・開放について「教える」と提案しながらも、金正日を手ぶらで帰らせた。8月の首脳会談でも胡錦濤主席は、後継者構築作業を急ぐ金正日を満足させなかった。こうした状況で、金正日は低姿勢を維持するよりも、中国が大幅支援せざるを得ない状況を作るしかないと判断したのだろう。
それから、military.comによれば、北朝鮮はロシアに朴宜春(パク・ウイチュン)外務大臣を派遣しました。詳細は発表されていませんが、延坪島砲撃事件が引き起こした緊張を緩和するためとみられています。
私は、日本やアメリカを再び交渉の場に引きずり出すのが北朝鮮の狙いだと考えていましたが、この記事には強い説得力を感じました。なにより重要で確実な中国の支援が得られないので、いわば自殺未遂を北朝鮮が演じてみせたというわけです。日韓米は期待通りの態度を示し、中国は北朝鮮を崩壊させたくないので、支援を再開する方向へ進んでいることになります。
これは日韓米にとって好ましくないことです。さらに中国に圧力を加えるべきとの方針を考えることができます。 いまは中国が関係国を説得に回っている段階です。やがて、中国はどこも説得に応じないことを確認するでしょう。そこで中国が何を決断するのかといえば、やはり追加支援でしょう。あるいは、技術支援を推進し、北朝鮮がある程度自立できる程度にしようとするかも知れません。別の展開としては北朝鮮の内部崩壊もありますが、可能性は低そうです。
中国が北朝鮮への対応を決めたところで、日韓米は何らかの決断が必要と考えます。同じことの繰り返しは無意味です。日本はすでに相当な経済制裁を行っています。韓国には、北朝鮮を支援しようとする組織もあり、政府の経済制裁や違法な北朝鮮への支援の取り締まりを、さらに強化する必要があります。それでも北朝鮮が存続するようなら、中国の支援がまだ大きすぎるのです。中国は6ヶ国協議による成果の妨げになっていますが、彼らが参加することによる利益もあり、放棄するのは得策ではありません。しかし、何らかの変化なしに、6ヶ国協議を先へ進めるのは不可能になってきていると思われます。
もともと、朝鮮戦争はロシアが扇動し、彼らがあまり軍事支援を行わなかったので中国が武器や兵士を援助したという歴史があります。中国にとっては成り行きで手に入った緩衝地帯という経緯があります。中国がそれを放棄する可能性も僅かながら残されています。
やはり、こうした行動の中心になるのは韓国です。しかし、韓国は人口が5000万人に満たず、2300万人の北朝鮮国民の受け入れや戦争に経済が耐えられるかが心配です。日本政府には、北朝鮮の崩壊に向けて、韓国政府と協力する態勢や予算を確立する予定はないようです。菅直人総理が「断固とした対処」を叫んだだけで、具体的な計画は聞かされていません。私はここで韓国に大金を投じても、協力しておくことが重要だと考えます。拉致被害者の帰国、中国問題に対する韓国の協力、東アジアの長期的な安定のために、国家予算の一部を割り当てることに問題はありません。韓国政府から問題点をあげてもらい、日本にどんな協力ができるかを検討するべきです。