上院がDATA否決にゲーツ長官が不満

2010.12.13

 military.comによれば先週、米上院は「聞かない・言わない政策(don't ask, don't tell: DATA)」撤廃を57対40で否決しました。賛成票は可決に必要な60票に3票足りませんでした。

 スーザン・コリンズ上院議員(Sen. Susan Collins)は、共和党で唯一賛成票を、ジョー・マンチン上院議員(Sen. Joe Manchin)は民主党で唯一反対票を投じました。

 military.comによれば、ロバート・ゲーツ国防長官(Defense Secretary Robert Gates)が、これに不満を表明しています。

 ゲーツ長官は、裁判所が撤廃をひっくり返すかも知れないという懸念をよそに、軍は議会が行動を起こすまで、同性愛者の軍務禁止を撤廃するための準備を始めるべきではないと言いました。国防総省は撤廃を実施する計画を立てていますが、変化のために訓練や準備を始めるためのどんなステップであっても、兵士たちを混乱させかねないとゲーツ長官は言いました。彼は、議会が禁止を撤廃する法律を成立させ損ねたことに増加する不満を繰り返しました。

 国防総省の指導者たちは裁判所がより高い頻度で禁止に不利な判決を下したり、即座に完全な変更を強いるのを懸念しています。

 アフガニスタンから戻る飛行機の中で長官は記者に、上院による遅延は失望したが驚かなかったと言いました。

 彼は、議会の死に体の委員会が1週間残っていること、彼らが行動できないなら、「私の最大の懸念は裁判所のなすがままになり、結果がまったく予測できなくなることです」と付け加えました。


 韓国の延坪島砲撃事件の影響で紹介するのが遅れましたが、米軍の同性愛差別撤廃問題について書きます。

 アメリカの法律では議会に立法権があり、この点では上院と下院の権限は同じで、両院での可決がないと法律は成立しません。大統領は拒否権はありますが、立法権はありません。オバマ大統領は法廷ではなく、議会で同性愛差別撤廃を実現することを望んでいます。裁判所が憲法判断を行うと、議会は口を挟めなくなるので、できるだけ議会の手の中で行いたいというのがゲーツ長官の考えです。法律家は政治の都合を考えずに判断をくだすので、先が読みにくいということです。

 オバマ大統領の支持率低迷を狙って、共和党の攻勢が始まっているようです。



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