2014年までにアフガン完全撤退

2010.12.21

 military.comによれば、ジョー・バイデン副大統領(Vice President Joe Biden)は、アメリカは何があろうとも2014年までにアフガニスタンから撤退すると言いました。

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 NBCの番組「Meet the Press」で、バイデン副大統領は現在のアフガンでの状況を2010年の夏までに戦闘部隊を撤退させる計画を発表した時に似ていると言いました(番組のウェブサイトはこちら)。「我々はイラクでやったのと同じように(撤退の)プロセスを始めたところです。我々はそれを2011年7月に始めようとしています」「それから、我々は2014年までに何が何でもそこから完全に出ようとしています」。

 バイデン副大統領の声明は、以前に2011年にアフガンから米軍を撤退させると誓約したオバマ大統領を非難した議会のタカ派から攻撃の的となることはほとんど間違いありません。共和党のジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)とリンゼイ・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)は、オバマ大統領はアルカイダとタリバンにアメリカがいつ撤退しようとするかを教えたようなものだと言いました。無所属のジョー・リーバーマン上院議員(Sen. Joe Lieberman)は来年撤退を開始しないように政権に警告することで共和党議員と連帯しました。しかし、政権と連合軍指揮官デビット・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)は、2011年7月は撤退のプロセスを開始するだけと主張し、繰り返し期日を擁護しました。ペトラエス大将は撤退は地上戦の状況次第だと言っています。


 撤退を開始するのは2011年7月で、最大2014年末までかかるとしても、その期間は2年5ヶ月です。撤退開始の時期を秘匿しても、いずれかの時点でタリバンやアルカイダは撤退がはじまっていることに気がつきます。帰国する部隊の代わりが送られないことは、事前に発表される派遣のスケジュールによって誰の目にも明らかになるのです。その時に「アメリカが敗北して、こっそりとアフガンから逃げだそうとしている」と敵に宣伝されるよりは、事前に強い意志で撤退を始めたことを明確にした方が、私は政治的にプラスだと考えます。反対派の意見は、いかにも軍事的センスがありそうで、実は大した意味はないのです。

 こうした大きな政治的変化は経済活動にも影響を与えます。事前に発表することで、企業に告知した方が、経済活動にもよい影響があります。

 このことは繰り返し指摘していますが、議会の分からず屋たちは未だに同じ主張を続けているようです。実のところ、こうした反対派がいるからこそ、強い意志を政権が示し、明確に撤退を宣言する必要があるのです。それよりも反対派たちは不毛なイラク戦争を支持し、大統領が拷問などの国際法違反を犯すのを放置したことを反省すべきです。世界の指導者を自認するのなら、戦争を煽るようなことを容認すべきではありません。現地の兵士が犯した犯罪と違い、拷問をはじめとする数々の人権侵害は大統領による犯罪行為でした。

 バイデン副大統領の発言は政権内部に意見の相違はなく、団結して問題に対処していることを示すものです。

 番組のウェブサイトには映像だけでなく、テキストでも発言が紹介されています。ビデオを見ながらテキストを見られるようにもなっています。



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