カンダハルでイラン人工作員が逮捕

2010.12.24

 military.comによれば、連合軍とアフガニスタン特殊作戦チームは、イランのクッズフォース(Qods Force)の工作員で、イランからアフガンへの武器輸出を助けたと疑われるタリバン指揮官を拘束しました。

 氏名が公表されていない、このタリバン指揮官は12月18日にカンダハル州のザリ地区(Zhari district)の急襲で拘束されました。ISAFとアフガン軍は現在、ザリ地区と隣接するパンジャイ地区(Panjwai)、アルガンダブ(Arghandab)地区でタリバンを掃討しています。合同治安チームはナイモズ州(Nimroz province)を経由して、イランとカンダハルの武器の移動を容易にする個人を狙いました。最初の発表では、このタリバン指揮官はクッズフォースの工作員とは特定しませんでしたが、「The Long War Journal」の質問に答え、ISAFは男がそれを確認しました。これはアフガンでクッズフォースの工作員が逮捕された最初の事例です。イラクでは2006〜2008年に数人のクッズフォースの指揮官と工作員が拘束されました。

 この記事は最初に「The Long War Journal」に掲載され、元記事の前半部分です(元記事はこちら)。後半の一部を紹介します。

 クッズフォースはアンサル隊(the Ansar Corps)にタリバンやその他のアフガン国内のテロ組織を支援する任務を課しました。イラン北東部のマシュハド(Mashad)に拠点を置くアンサル隊は、イラクのシーア派テログループを支援・監督したラマザン隊(the Ramazan Corps)と同じように活動します。アンサル隊を指揮するホセイン・ムサビ将軍(General Hossein Musavi)は、アフガンのタリバンに直接的な支援を提供したために、今年8月6日に米国財務省の国際テロリストの特別指定リストに加えられました。

 アルカイダはマシャドの他に、東部都市のテイェバット(Tayyebat)、ザーヘダーン(Zahedan)をアフガンへ工作員を送り込むのに使っています。アルカイダのネットワークは現在は西部のファラ州(province of Farah)で活動しています。10月以来、ISAFとアフガン特殊作戦チームは5回の急襲が、2010年3月以来では10回の急襲が報告されて、アルカイダに関係がある指揮官3人(Mullah Aktar、Sabayer Sahib、Mullah Janan)を殺害しました。

 以下は省略します。


 成果を報じるこの記事は、やはりカンダハル掃討が極端に遅れていることを暗示しています。記事に登場したザリ、パンジャイ、アルガンダブという地名から、ISAFとアフガン軍がカンダハル市内に入れていないことが窺えるのです。彼らはまだ、カンダハル市西方の田園地帯で活動しています。住宅地がある市街地には到達していないのでしょう。これは今年9月初旬の状況から多分、僅かに前進したくらいのところです。予定ではすでにカンダハル市を掃討し、アフガン政府による行政サービスの確立が急がれる段階のはずです。それでも、作戦の遅延を誰も批判しようとしません。戦略がしっかりした軍事活動なら、これほどの遅れは許されず、遅延を取り戻すための対策が議論されているはずです。アフガン戦には戦略がなく、無為に軍事活動を継続しているだけなので、米軍内ですらそんな話にはならないのです。アメリカの政治家にとって、それを口にすることは自国の対外的な威信を貶めるだけなのです。結果として、誰も問題を解決しようとしません。だからこそ、オバマ大統領はアフガン撤退を推進しているのですが、「敵に撤退期日を教えるな」と反論する政治家が出る有様です。これが国家の大儀に隠れた、これ以上ない無責任な態度です。

 アフガンでイラン工作員が逮捕されたのは初めてですが、こうした活動はイラク戦から知られていましたから、特に目新しくはありません。ようやく、ISAFがカンダハル戦を支援する後方の活動に追いついたというところです。



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