アサンジ:米刑務所で暗殺の危険性

2010.12.25

 military.comがジュリアン・アサンジ氏(Julian Assange)のインタビュー記事が「the Guardian」に掲載されたと報じました。

 元記事から興味深いところを抽出しています(元記事はこちら)。

 アサンジ氏は、イギリスがアメリカに送還するのは、イギリス国民の自分に対する強力な支持により「政治的に不可能」だと言います。「すべては政治の問題です。我々はイギリスの政治的な考えに影響を及ぼし、モラルアクターとしての我々の水準の認知に影響を及ぼそうとする試みがあることは推測できます」。彼は激怒したアメリカが彼と「WikiLeaks」の自由に最大の脅威を与えると考えています。

 彼を起訴するために、直ちにアメリカへ移動するという証拠はありません。しかし、アサンジ氏はオバマ政権が外交上の情報を洩らしたと疑われているブラッドレー・マニング(Bradley Manning)と司法取引をしようとしていると言います。エリック・ホールダー司法長官(attorney general, Eric Holder)は、アサンジ氏を共謀者とコンピューターハッキングとテロリズムの支援で起訴しようと試みていると彼は言います。

 アサンジ氏は今、スウェーデンへの送還と戦っています。彼はスウェーデン女性2人への性的不品行を強く否定しました。高等法院は2月6〜7日に送還審問を予定すると共に彼を保釈しました。「独房監禁はとても難しいです。しかし、私はそれに耐えるための、若干の文通の機会が提供されることを知りました。私は精神的に強いのです。もちろん、それ飽き足りな意味では私の人生の終わりを意味するでしょう」と彼は言いました。アメリカがイギリスやスウェーデンから彼を移動するのに成功すれば、彼はアメリカの刑務所システムの中でジャック・ルビー(Jack Ruby)型で自分を殺害する好機があると言いました。

 アサンジ氏はWikiLeaksが弁護士費用を支払う金を持っていないと言いましたが、多くの寛大な弁護士は彼らの時間を我々に寄附してくれたと言いました。WikiLeaksと彼のための裁判の費用は500,000ポンドに達したと言います。アメリカの圧力で、ビザ、マスターカード、ペイパルがWikiLeaksへの寄附をストップする決定を下したことは、約500,000ポンドの資金を奪ったと、彼は訴えました。これはWikiLeaksの半年分の出版稼働にあたります。最盛時、WikiLeaksは1日に100,000ポンドを受け取っていました。

 出版筋によれば、アサンジ氏はWikiLeaksと彼の人生に関する本で7桁の寄付金を確保しました。情報筋は、彼は自身の負債の一部を支払い、個人的な弁護費用を精算するために自分で250,000ポンドを受けとるといいます。この本はアメリカではクノッフ社(Knopf)、イギリスではキャノンゲート社(Canongate)から、春に出版されます。


 ジャック・ルビーは、ケネディ大統領暗殺犯のルー・ハーヴェイ・オズワルドをダラス警察署内で暗殺した犯人です。ナイトクラブのオーナーがなぜそんなことをしたのかは謎のまま、肺塞栓と肺ガンで再審を待ちながら、刑務所で死亡しました。

 アサンジ氏はルビーが暗殺されたと信じているのかも知れませんが、該当する病気を意図的に発生させることは難しいでしょう。ルビーがオズワルトを暗殺したことを指している可能性もあります。オズワルドは警察官に誤送される途中、身体の自由を奪われている時にルビーに拳銃で撃たれました。

 表現の内容は別として、アサンジ氏は拘束中に暗殺される危険を考えているのでしょう。それは理解できることです。

 アサンジ氏はイギリスで人気が高いようです。だから、イギリス政府は彼をアメリカに引き渡すようなことはしないと考えられるわけです。実際には別の理由もあるでしょう。イギリスはアメリカの政策に従う政策を掲げてきました。しかし、そのためにイラク戦争で大失敗しました。ここでまた、アメリカの要求通りにアサンジ氏を引き渡すのは、政治的に大きなマイナスとなります。私にはこの理由が非常に大きいと思えます。政治的に不可能とは、司法的に不可能を意味しません。もし、イギリスの法律に引き渡しを合法にする可能性が少しでもあるのなら、まだアサンジ氏は油断すべきではないのです。

 しかし、アメリカへの送還はないかも知れません。彼をあまりにも追求すると、訴追する側への批判が高まり、WikiLeaksへの寄附や協力が余計に集まるという結果をもたらすかも知れません。今後は状況を見ながら、WikiLeaksの活動に制約をかけていく方法が用いられそうです。

 500,000ポンドは日本円で約6400万円です。半年でこの程度なら、意外と小さなコストで組織が運営できていることになります。恐らく、アサンジ氏の本は世界中で爆発的に売れます。多分、日本でも発売されるでしょう。印税は最終的にかなりの金額になり、それはWikiLeaksの存続に大いに役立つはずです。



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