米海兵隊指揮官がマルジャの戦闘終了を宣言

2010.12.8

 military.comによれば、米海兵隊のリチャード・ミルズ少将(Maj. Gen. Richard Mills)は、アフガニスタン南部のヘルマンド州マルジャ(Marjah)での戦闘が終わったと宣言しました。

 ミルズ少将は、国防総省での記者会見で、敵は地域の周辺へ押しやられたと言いました。アフガン警察はほとんど自分の力で治安を提供しています。激戦は依然として、イギリス軍から海兵隊が引き継いだサンギン地区(Sangin district)を含むヘルマンド州の他の地域で続いています。ミルズ少将は、タリバンが来春に再来する可能性を減らすために、攻撃的な冬季間の作戦を明言しました。

 来週公表される報告書は、米軍が撤退を開始できるだけの、タリバンに対して僅かな前進に言及するとみられます。オバマ大統領は来年7月に始まると言っています。報告書は、軍がアフガン南部の小さな地域すら完全に鎮圧できなかったことを認めるとみられます。


  マルジャは2月後半に占領が宣言されましたが、その後も戦闘が継続されてきました。ようやく戦闘も終わったと宣言したわけです。約9ヶ月かかっています。この成果は報告書が指摘するとおりに、非常に小さなものです。マルジャから武装勢力を追い払っても、周辺地域にはいるわけです。ヘルマンド州で鎮圧できたのはマルジャ周辺だけで、他は完了していないということは、いつマルジャに武装勢力が戻ってもおかしくないということです。ミルズ少将は、それを認識しているので、冬期間もさらに攻勢を続けると言うわけです。

 明らかに米軍は苦戦しています。世界最強を誇る米海兵隊が装備も満足に持たない武装勢力相手に、この程度の戦果しかあげられないのです。これは主に、タリバンの戦闘能力ではなく、地勢や戦地の社会状況によるものと考えます。環境が不向きな場所では、軍隊は力を発揮できません。これは軍隊の努力では補えないほど大きいのです。すでにカンダハルを鎮圧している予定なのに、まったく果たせていません。

 軍隊が達成できる成果は、意外と制限されていることを、我々は知るべきです。無用な軍の派遣は悲劇を増やすだけです。

 すでに多くの人が忘れていますが、アフガン戦はイラク戦で行き詰まったブッシュ政権が「戦略を転換したようにみせかけるため」に始めた戦いです。軍事ドクトリンは変更せずに戦場だけを変えました。そんな軍事行動がうまく行くはずはないのです。オバマ大統領も、内心では早くアフガンにおける責任を投げ出したいはずです。


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