military.comによれば、地裁判事ジョン・ベイツ(District Judge John Bates)は、米政府がイスラム聖職者アンワル・アル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)を殺害するのを防ごうとする訴えを棄却しました。
ベイツ判事は書面にした意見の中で、アウラキの父親は彼の息子のために訴えを出す権限がないと書きました。しかし、彼は本件が米政府が自国民を殺害する計画を立てられるかという深刻な問題を提示すると言いました。
アウラキはイスラム過激派を扇動し、いくつものアメリカに対するテロ事件のきっかけとなったとされ、米政府による暗殺の対象とされています。彼自身は何の事件も起こしていませんが、テロ実行犯の精神的な支えとなっているのです。
正直なところ、こういう人物を暗殺するのはやり過ぎと思っています。彼はオサマ・ビンラディンとは違います。アウラキの力が弁舌によって生み出されているとすれば、米政府は情報戦を用いて、彼の権威を失墜させられるはずです。
ベイツ判事の決定については、米国憲法の解釈などむずかしい法律判断が必要でしょうが、割と標準的なものではないかと想像します。訴訟を却下したのは、当事者でない者は訴訟を起こせないという、基本的な解釈でしょう。暗殺の対象であるアウラキ本人が訴訟を起こしたら笑い話になってしまいます。一方で、米国憲法が保護を保証する米国民を米政府が暗殺できるかという問題は、確かに法律家にとって悩ましい問題でしょう。米国内では軍隊は警察活動を行わないという伝統もあり、米国民がこういうことに慣れていないのも、その理由になりそうです。