military.comが、イラクに外国人戦士が大量に戻り、今年に起きた破壊的な攻撃を引き起こしたという情報当局者の見解を報じています。
入国した外国人戦士の実数は特定できませんが、中東の情報当局者は10月だけで250人と見積もります。
米当局者は、8月に微増に気がついたと言いましたが、人数は明かさず、2005〜2007年にアラブ諸国から殺到した武装勢力よりも遥かに少ないと言いました。
去年、米対テロ当局者はイラクに向かう外国人戦士の数が数百から数十へ減ってきたと言いました。
しかし、中東の対テロ当局者は、イラクへ入国するテロリストがシリアのイスラム原理主義者の拠点、ホムズ(Homs)を通ってやってくると言います。その他の者たちはパキスタン、サウジアラビア、リビア、イエメンから来ます。また、2007年以来、50億ドルを支援で受け取ったイラクの武装勢力に、毎年多額の外国資金が注ぎ込まれています。
戦いの最盛期でも、外国人戦士のイラクの武装勢力の数パーセントでしたが、彼らは海外からの寄付によって支えられ、自爆攻撃を実行しようとする生粋の聖戦戦士の一部を生んできました。
米当局者と専門家は、外国の支援がイラクや中東当局が考えるほど多額ではないと考えています。匿名の米軍当局者は、イラクに入国する外国人戦士は月に約10人だと言います。ワシントン中近東政策研究所(the Washington Institute for Near East Policy)のマイケル・ナイツ(Michael Knights)は、ISIの中に熟練した外国人戦士の小さな細胞だけがいると言います。
しかし、民間の国際的情報企業「Stratfor」のアナリストは、教会襲撃事件における外国の支援は、アルカイダが武装勢力のための新しい資源を見つけ、さらなる攻撃を行う資源を持った可能性を示していると言います。
教会襲撃事件は、この記事に書かれている外国人戦士が起こした事件のリストの中に説明があります。その要約は以下のとおりです。
10月31日にキリスト教の教会を襲撃し、68人を殺害した外国人戦士6人はイラクで最重要指名手配されています。彼らは、夏に総計で73人を殺した、バグダッド中心部のイラク軍司令部への2件の攻撃についても疑いが持たれています。容疑者は全員がイラク人ではないアラブ人です。6人中5人はシリア国境にある2つのスンニ派が多数派の地方に隠れており、もう1人はシリアへ逃亡しました。
この記事で気になるのは、中東とアメリカの情報機関の見解がかなり異なっていることです。シリアからイラクへ外国人戦士が入ってくるのは、アメリカが2003年にイラクを占領してから間もなく始まった主要な動きでした。米軍はイラク西部で何度も掃討作戦を行いましたが、外国人戦士の流入を止められず、バグダッドなどで大規模なテロ攻撃が起こるのを許しました。
それがイラク西部に多く住むスンニ派イラク人が、外国人戦士を受け付けなくなると急速に衰退し、イラクの治安が安定へ向かいました。 いままた、シリアからの外国人戦士が増えたということは、スンニ派イラク人が再び外国人戦士を受け入れるようになった証といえます。そうだとすれば、極めて憂慮すべき状況に来ていると考えられます。これまでは、シーア派のサドル師の準軍事組織が動き出す危険性を考えていましたが、これにスンニ派が加わることになります。確かに、今年のイラクでのテロ事件は増えたとはいえ、2004年頃に比べるとかなり少数です。しかし、今後これが増加する可能性は否定できません。
スンニ派が考えを変えた動機を探る必要があるのですが、アメリカにその気はないようです。もうイラクに対する責任は小さくなったと考えているのかも知れません。しかし、スンニ派の最大の動機は、イラクやアメリカの政府に協力して報われなかったことにある可能性もあります。「イラクの息子」のような治安組織の問題はかねてから言われてきました。これが大規模な内乱の兆候である可能性も考えてみるべきです。