地元長老が作戦開始を要請

2010.2.13


 military.comによれば、マルジャ(Marjah)の長老がNATOに、市民を保護するために素早く注意して攻撃計画を終わらせるように懇願し、米軍とアフガニスタン軍がマルジャの北方で小規模の攻撃をタリバンに対して行いました。マルジャの長老が早く街を攻撃するよう要請しました。

 一日中続いた戦闘で犠牲者は出ませんでした。海兵隊員は50口径機銃とグレネードランチャーで車列に対する待ち伏せ攻撃に反撃しました。第5ストライカー旅団に随行する記者はタリバンの居住する場所へのミサイル攻撃の大きな音を聞きました。34人のグループの長老アブドル・ハイ・アグハ(Abdul Hai Agha)は、地元当局に手紙を書き、彼の身内が脅えており、その後姿が見えないので心配していると述べました。彼は、マルジャで作戦を行っているのならば早く行い、民間人への攻撃を避け、難民のために近くの街に食べ物と避難所を設けるよう求めました。地元当局者は、毛布や食べ物と共に7,000家族分のスペースを用意し、マルジャの北東30kmにあるラシュカル・ガー(Lashkar Gah)には、450家族(約2,700人)がすでに避難所を探し求めており、多くは親類宅へ、100人以上が政府の避難所に入ったといいます。マルジャとラシュカル・ガー間の道路は、避難民の車やトラックで渋滞しています。彼らはタリバン指揮官からの追求を避けるため、密かに逃げる必要がありました。3人の子供を連れたある女性は所持品を持たず、別の3人の子供を置いてこなければならなかったと語りました。警察は避難民の車両の中にタリバン兵が隠れていないか捜索しています。アフガン政府は地元の長老にタリバン指揮官に降伏するよう求めていますが、長老たちからは自分たちは農民であり貧しい者たちなので、タリバンと交渉はできないと言います。ラシュカル・ガーに住む、ある長老はタリバン指揮官に電話をかけ、アフガンの同胞と問題を超さないこと、自爆攻撃を行わないことを要請しました。民間人への被害を避けるために空襲は限定的に行っています。東方で、夜間空襲で民間人に被害が出たと住民がアフガン・NATO軍を批判していますが、NATOは住居を捜索した際に、住居内で数名の武装勢力の死体と縛られて口を塞がれた男性2人、女性2人の死体を発見したと述べています。記事には、この2つ(あるいは同一の事件)の事件の真相は書いていません。

 住民はタリバンが近くにいないときに脱出しているようで、相当な混乱が予想されます。3人の子供を置いてきたという女性の言がそれを物語っています。6人全員を連れて脱出するのがベストですが、そうすればタリバンに捕らえられ、全員が殺される危険があるので、3人だけを連れて逃げたのです。まるで満州帝国末期に、日本人が子供を置き去りにして日本に帰国した史実を連想させます。アフガン政府が用意したのは、一家族6人として42,000人分の避難所です。たよる親戚がいない人たちを避難させるには、なんとか足りるという数字でしょう。

 このような状況で作戦を開始すれば、被害はかなり大きくなります。長老の進言があっても、米軍やNATO軍はまだ侵攻を待つでしょう。IEDによる被害を避けるためにも、事前のIED除去に時間をかける必要もありますし、タリバンの迫撃砲もつぶしておく必要があります。報じられていませんが、米軍の砲兵隊はタリバンが迫撃砲を撃つ度に、すかさず発砲地点を砲撃しているはずです。こうした準備段階の詳細は公表しないでしょうから、我々が状況の変化を知るのは,進撃が開始される時になるかも知れません。街の外縁部に辿り着くのは簡単ですが、その後は市内にあるIEDを除去しながらになるので、進撃はゆっくりしたものになるはずです。

 国際部隊としては、アフガン戦で最大のこの作戦で、できる限り民間人の被害を減らし、アフガン国民にアピールしたいはずです。そのために、どのような工夫をしているのかが気になります。たとえば、闇に紛れて脱出してくる民間人とタリバン兵をどう見分けるのか、といった問題です。この辺も、さらに時間が経たないと報じられないかも知れません。


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