ムシュタラク作戦:地上戦が始まる

2010.2.14


 日曜日ですが特別に更新します。military.comによれば、私の予想よりも若干早く、マルジャ攻略戦であるムシュタラク作戦が本格的に始動したようです。

 アフガニスタン南部を担当するNATO指揮官ニック・カーター少将(Maj. Gen. Nick Carter)は、アフガン軍と連合軍は60機のヘリコプターにより投入に成功し、作戦は「支障なく」進行していると言います。マルジャ北方にはイギリス軍とカナダ軍、数千名が入り、タリバンが数年間統制してきた村を掃討しています。連合軍の死傷者はこの空挺作戦の後12時間は報告されませんでしたが、NATOと米軍の兵士3人がアフガン南部の他の場所で爆弾によって死亡しました。少なくとも武装勢力20人が死亡し、11人を捕獲。カラシニコフ小銃、重機関銃、手榴弾を回収しました。タリバン広報官は、武装勢力はまだ抵抗し、街を支配していると主張しました。第6海兵連隊の第3大隊指揮官、ブライアン・クリスマス中佐(Lt. Col. Brian Christmas)は、インディア中隊が激しい戦闘を行っているシスタニ(Sistani)の西郊外を含む、街の4カ所で銃撃戦になっていると言います。東方では、K(キロ)中隊がヘリコプターで投入され、海兵隊員が着陸地点から扇形に展開すると激しい交戦となりました。最大の脅威は、部隊が街の北部に入る主要な運河を越えた途端に遭遇した地雷と自家製爆弾、ブービーとラップの広範なネットワークでした。武装勢力は最前線から撤退したように見えましたが、1950〜1960年代にアメリカ人が造った運河に爆薬を残りました。海兵隊は多数の爆弾を安全に起爆しました。北側からマルジャに入る運河の橋は、爆薬を仕掛けられているので、海兵隊は架設橋をかけました。海兵隊員がゆっくりと近づくと、市民が躊躇しながら出てきました。小売店店主は、7〜8人のタリバン兵が夜中に逃げたと言いました。彼は武装勢力が爆弾や地雷を周囲に仕掛けたことに怒っていました。武装勢力は街のさらに奥へと行きました。最初の数百人のヘリコプターによる投入の後、地上攻撃がありました。攻撃ヘリコプター・コブラは掩蔽壕やその他の防御陣地へヘルファイア・ミサイルを撃ち込みました。海兵隊指揮官は武装勢力は400~1,000人規模で、100人以上の外国人戦士を含むと言います。参加兵数は15,000人で、約7,500人がマルジャで戦っています。アフガン兵はこの半数程度といいます。しかし、街の住人は攻撃部隊をほとんど歓迎していません。ある長老は人々に、外に出ずに、ドアをボルトで留めておけと言っています。カーター少将は「人々が安全だと感じ、政府の存在が確認できたら、彼らは出てきて、どこにIEDがあるかを言うでしょう」と言っています。

 作戦開始を発表した以上、NATOは本格的に地上戦を始めたのだと思いますが、記事には抵抗は散発的だと書かれています。今後、もっと激しい戦闘があっても不思議ではありません。気になるのはヘリコプターが着陸するとすぐに抵抗に遭遇していることです。そこしか適当な投入位置がなかったのでしょうか?。事前の偵察や砲爆撃に効果がなかったのでしょうか?。タリバンがラッキーだっただけかも知れませんが、ヘリコプターの姿を見てからでは、効果的な反撃はできないはずで、つい事前に着陸地点が漏れていた可能性を考えてしまいます。作戦は進展し、成功するでしょうが、問題はどれだけ市民の被害を抑えるか、事後の民政復活で市民を満足させるかです。タリバン兵は自分が助かるとは思っていません。死ぬまで戦うつもりでしょう。市民を巻き添えにした無謀な攻撃が予測されますし、作戦が成功しても政治的な成功がなければ犠牲は無駄になります。今後、しばらくはマルジャ周辺の動きに注意を払う必要があります。ですが、住民が誰も解放軍を歓迎していない点が気になりますね。今後、民政が復活したらどうなるかも見守る必要がありますが、率直に言って,タリバンと市民の切り離しは、あまりうまくは行かないという見通しを持っています。これまでの経緯から見て、タリバンへのアフガン国民の信頼が強すぎるのです。アフガン政府が人気を急に挽回できるとは考えにくいのです。

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