military.comが、アフガニスタンのマルジャ戦でさらに民間人の犠牲が出たことを報じています。
12人を死亡させたロケットの誤射事件とは別に、3件の異なる事件で3人が死亡しました。2件の事件は、NATO軍に接近したアフガン人男性が、兵士が声と手信号で止まるように指示したのを無視したため、兵士が発砲して死亡させました。もう1件の事件では、武装勢力とNATO軍の銃撃戦に巻き込まれた男性2人が負傷し、1人が治療を受けながらも死亡したものです。NATOは確認できた民間人の死者は15人としていますが、人権保護団体「アフガニスタン人権モニタ(Afghanistan Rights Monitor)」は19人としています。NATOの発表よりも多い4人は、様々な理由で家を出なければならなかったときに、銃撃戦に巻き込まれた人たちです。同団体の代表アジマル・サマディ(Ajmal Samadi)は、死者たちの隣人は「死体が外にあるので回収したいけども、外に出ると自分も撃たれるので恐い」と言っており、どちらが彼らの死に責任があるのかは不明だとしています。住民のワリ・モハンマド(Wali Mohammad)は記者に、タリバンが殺しに戻ってくるので、写真を撮らないでくれと言いました。彼は海兵隊員が前進すればすぐに武装勢力が戻ってくると断言しました。大麻を栽培する農民は「彼ら(武装勢力)が来ると、我々は自分たちの家を使わないでくれと言おうとしますが、彼らは銃を持っており、したいことをする」と言いました。海兵隊員の数日間の目標は、土曜日に市内に空輸された別の中隊と合流することでしたが、進展は遅れています。タリバンの攻撃は散発的です。マルジャにはタリバンが崩壊した兆しはありません。小さな機動的な武装勢力のチームが繰り返し、米軍とアフガン軍をロケット砲、ライフル銃、RPGで攻撃しています。タリバン兵は幹線道路に十分に接近して、地雷除去車両の縦列を繰り返し攻撃しています。
military.comによれば、海兵隊はタリバンの抵抗が無秩序になっているとみています。しかし、記事は戦闘の模様を断片的に伝えているだけで、戦術上のコンセプトは伝わってきません。
米軍とアフガン軍は大麻畑で干し草の山から撃ってくる武装勢力と交戦しました。記事には攻撃ヘリコプター・コブラだけでなく、オスプレーが戦闘で使われている様子が書かれています。また、第6海兵連隊第3大隊は土曜日にヘリコプターで投入以来、街の奥にある住宅地で激しい戦闘を続け、増援部隊として地上軍が到着するのを待っています。第2小隊指揮官のゴードン・エマニュエル大尉は、日が昇っている間はずっと戦いが続いていると言います。海兵隊の広報官エイブラハム・サイップ大尉(Capt. Abraham Sipe)は「我々は、我々が本来行うように調整された攻撃を見ていません。まだ、小火器の攻撃だけですが、それは散発的で、ヒット・エンド・ラン戦術(待ち伏せしては逃げる戦い方)です。全体として、抵抗があるものの無秩序です」。
15日の記事を書いていて、ちょっと変だと思ったのですが、第6海兵連隊第3大隊はヘリボーンにより市内に投入され、あとから地上軍が来援する作戦のようです。掃討作戦なのに、こんな空挺作戦が必要なのだろうかと思います。早くオスプレーの使用実績を作りたいとする海兵隊の発案を疑ってしまいます。これは、マルジャの地図が欲しいですね。空挺作戦が必要だったかどうかを考える必要があります。さらに、すでに3日間経っているのに、援軍が到着できないのなら、タリバンの抵抗が散発的とは言えないはずです。IEDの除去に時間がかかり、進軍できないとしても、それはタリバンの成功として評価しないと、海兵隊は自らの作戦も正しく評価できないはずです。このまま援軍が到着できず、投入部隊が引き揚げてしまうようなら、これはタリバンにとって最大の宣伝材料になるでしょう。タリバンは秩序のある戦いでは米軍にはかないません。理にかなった戦術なら、米軍は最も効率的に戦える力を持っています。イラク戦の初期にも、武装勢力は小火器で普通の戦闘を仕掛けました。しかし、これでは米軍の援軍や支援火力が到着すると、到底かなわないことが分かったのです。米軍は敵と交戦したら、交戦を維持し、援軍を呼んで側面や背後に回り込ませ、さらには航空機や砲兵による砲爆撃によって息の根を止めます。つまり、そんな対抗力のない武装勢力は、戦場に留まる時間が長いほど不利になるのです。そこで、武装勢力はIEDによる待ち伏せに切り替えました。マルジャでもIEDが用いられるのは当然です。さらに、兵士がヒット・エンド・ランで戦うのは当たり前の話です。急に先行きが不安になってきました。