同盟軍がマルジャの大半を占拠

2010.2.18


 military.comによれば、アフガニスタンのマルジャ戦で、タリバンが「人間の盾」を使っています。

 5日目の攻撃で、武装勢力は女性と子供に屋根や窓に立つように命令した家屋の内部や隣接部からアフガン軍に発砲しています。特に、マルジャの南部では、兵士が女性や子供が屋根や2階や3階の窓にいるのがはっきりと見える建物から発砲し、我々に彼らを攻撃させ、民間人を殺させようとしていると、アフガン軍の旅団指揮官モヒウディン・ゴリ将軍(Gen. Mohiudin Ghori)は述べました。将軍は、兵士は民間人が近くにいる武装勢力に発砲するかどうかや、武装勢力と民間人を見分けるために、さらにゆっくりと前進するかを選択しなければならなかったと言いました。北側から侵入した海兵隊とアフガン軍は、ヘリコプターで投入されて以来、4日間タリバンの攻撃を受け続けた海兵隊2個中隊と合流しました。タリバン指揮官ムラー・アブドル・ラザク・アクンド(Mullah Abdul Razaq Akhund)は、この攻勢はNATOのプロパガンダに過ぎないとし、自身のグループのウェブサイトで、マルジャは軍事的な価値が低いと述べました。NATOの戦死者は4人で、土曜日に死亡したアメリカ人とイギリス人と、国籍が特定されていない他の2人が死亡しました。アフガン軍の兵士も1人死亡しました。子供5人を含む12人の民間人を死亡させたロケットシステムが、狙った目標に命中すると確定され、使用が再開されました。

 military.comによると、アフガン軍は蜂の巣になった主要な市場にアフガニスタンの国旗を掲げました。その場にいた中年のアフガン男性は、「タリバンが数発発砲して、それから兵士が着て、この地域を爆破しました。人々は家を捨てて砂漠に逃げ、食べ物や水がありません。子供や女性は厳し状態で生きています」と述べました。NATO広報官エリック・トランブレー准将(Brig. Gen. Eric Tremblay)は、水曜日までに攻撃部隊は目標の大半を達成したと発表しました。トランブレー准将は、マルジャのどれだけを占拠したかは明らかにしませんでしたが、いま同盟軍は街の西部にある武装勢力の最後の包囲地帯を掃討しようとしていると言いました。「マルジャ西部のこの包囲地帯は、今でもタリバンに行動の自由を与えていますが、彼らの行動の範囲内ということです」。リチャード・ホルブルック特使(Richard Holbrooke)は、マルジャ内部と周辺のタリバンが政府側に転向する可能性について、政府と接触している証拠があると言いました。記事の残りは、大半がこれまでの情報の繰り返しなので省略します。

 戦いの大半は終わったようです。包囲した地域が1つだけなら、あとは時間の問題で、慎重に包囲網を狭めていくだけです。心配されたヘリコプターで投入された部隊も、増援部隊と合流しました。これならば、予定よりもかなり早くに作戦が終了しそうです。あとは、民間人の被害がどれだけ小さくできたかの検証が待たれます。人質の盾という問題を抱えながら、これだけ早くにマルジャを占拠できたのなら、作戦としては成功だったと言えるでしょう。現在発表されている数字が最終的といえるかどうかが問題です。人間の盾とされた民間人に被害が出ていないと考えることはできません。もし、この作戦が民間人の保護を重視しながら成功したのなら、この戦術は今後の作戦の方針として確定できます。このためには、最終的な被害の確定が必要です。

 今後は、砂漠に避難している女性や子供たちをいち早く救援し、復興事業を始めることです。市場ではアフガン兵が略奪を防止するために警備していると言いますが、市場の関係者が戻ったら、アフガン兵が略奪していたなんてことがあると「タリバンの方がマシだった」という話になり、これがアフガン全土に噂として広がってしまいます。それでは作戦を行った意味がありません。米軍は民間人の被害を出さなかった部隊を高く評価し、それがアフガン人を喜ばせ、復興のきっかけになっていることを伝えるでしょう。これまで、民間人の保護は兵士の間で不満の種でしたが、それを評価することで、兵士のやる気を引き出すのです。アフガン人に、このやり方が国を救うことをアピールし、米兵の意識も変えるのに成功するなら、この作戦を実行した意義があるというものです。

 高機動ロケット砲システムの使用が再開されましたが、記事には問題なしとされた理由が書かれていないのが残念です。

 なお、military.comは、イラク駐留米軍の兵数が、遂に10万人を切ったと報じています。


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