戦闘は続くもマルジャ占領を宣言

2010.2.19


 military.comによれば、米軍とアフガニスタン軍はマルジャの主要道路、橋、政府施設を支配下に置いています。

 まず、これまで「マージャ」と表記していた町の名前を、マスコミが使っている「マルジャ」に変更します。過去の記事についても変更しました。

 ラリー・ニコルソン准将(Brig. Gen. Larry Nicholson)は、「我々は町の背骨を支配していると言える。我々は我々がいたいところにいる」とAP通信に述べました。6日間のNATOの攻勢で、海兵隊とアフガン軍は、政府施設、主要な市場、80平方マイル(200平方km)の地域を十字に交差する道路を支配下に置きました。武装勢力が1マイル未満離れた地形を以前として確保し、重機関銃を発砲しています。毎日、劇的な変化はなく、安定しており、激しい戦いが続くことはないと准将は述べました。海兵隊の上級将校は、情報は120人以上の武装勢力が死んだことを示していると言いますが、ニコルソン准将は数について述べようとしませんでした。アフガン当局者は40人以上の武装勢力が死亡したと言います。ニコルソン准将は、数百人の戦士がおそらく再編成し、数日内に彼らの拠点に対する海兵隊の前進に抵抗を試みるだろうと言いました。正確さを増す狙撃兵、自爆攻撃の脅威に関する説得力のある情報は、マルジャの外部から来た武装勢力が未だに町の中で活動していることを示しています。しかし、一部の家族は所持品をロバに積んで家に戻りました。これは一部の市民がNATO軍によって鎮圧された地域の戦闘が終わったと信じている兆候です。この一週間近くではじめて、商品を買うために客が並び、町北部の銃弾の穴だらけの市場の店主たちは店を再開しました。人間の盾についても記事は書いており、ニコルソン准将は「我々は子供たちが怖がり、戸口の前で脅え、泣いているのを見た。これは言語道断だ」と言います。

 マルジャ北部の中年の大麻農家の男性は、タリバンが自分たちを人質にしたと言います。しかし、近所を占領している政府の軍隊は信用しないと言いました。「私は警察に苦しまされました。私は国際部隊がこの地域にやってくるのを望みません」。武装勢力であるかを確認するために、行われている措置の一端が記事に書かれています。海兵隊は発砲があった家から出てきた男性を止め、両手を即製のテストを行って火薬の残留物を発見してから拘束したのです。80,000人の市民が落ち着いたら、NATOは大衆の支持を願って、学校、診療所、電機を復活させる計画に突入します。NATO軍はマルジャの治安維持を援助しますが、できるだけ早くアフガン軍・警察に譲渡します。

 30日間と予告された作戦が6日間でほぼ終わったというのは、確かに早すぎますが、これは初期目標を達成したという意味で、まだ数百人の武装勢力が包囲されたエリアに残っている見込みです。この中にも市民が人質になっているはずですから、これまでのように包囲した地域を砲爆撃で瓦礫にするのではなく、慎重に掃討していくことになります。当然、時間がかかる戦い方なので、予定のかなりの部分を費やすことになるでしょう。勝敗は既に決していますが、戦いは続くというわけです。

 武装勢力側の被害はまだ十分に特定できていないようで、米軍とアフガン軍で認識に違いがあります。120人を殺害したとしても、武装勢力の最低の見積もり兵数は400人ですから、ちょうど30%です。この数字なら、後退して部隊を再編成し、抵抗を続けるのが軍事常識の相場です。タリバンが根性を出して、最後まで抵抗するか、実は既に相当数が逃走しているのか。この辺もまだ不明のままです。市民の犠牲もまだ不透明です。疑わしい者を、火薬粒に反応する試薬で検査するのは興味深い試みです。こうした努力は時間がかかりますが、成果を生むはずです。

 市民の意識についても、少しずつ 情報が出ていますが、もっと多数の人たちの意見を聞かないと、現地の意識は分かりません。しかし、記事に紹介された男性のように、人質にされながらも、まだ政府を信じられないという人が多い点を、我々は忘れるべきではありません。これは最後までアフガン政府の足を引っ張り続けるでしょう。

 これまで軍から出ている情報を見ても、まだアピール不足だと感じます。そして、こうした情報がどれだけアフガン国民に告知されているのかも不明です。アフガン国民の意識を変えるには、実は宣伝が重要なのです。戦争に宣伝は無関係のようですが、特に対テロ戦では重要です。私はひょっとすると、対テロ戦では宣伝が最も重要な要素かも知れないと思うほどです。アルカイダが宣伝を重視して、兵士を集めている点も忘れてはなりません。努力しても、それを大衆に知らせないと、いつまで経っても大衆はタリバンから離れません。国際部隊とアフガン軍は市民の犠牲を最小限に抑えており、タリバンは人質を取って市民を危険にさらしていること。掃討作戦は事前に告知し、終了後は民政が復活すること。こうした宣伝活動を、軍事作戦以上に重視すべきです。同時多発テロ直後、アメリカの取るべき戦略を検討したとき、私はどうやってイスラム教徒にアメリカが彼らの敵ではないことを告知するかが重要な問題だと考えました。しかし、それはアメリカのキリスト教徒によって無視された形になりました。ブッシュ政権は全面的な武力対決を選択し、民間軍事会社を盛んに用いました。ブラックウォーター社(現在のXe社)の創業者エリック・プリンス(Erik D. Prince)はコチコチのキリスト教信者として知られています。あるジャーナリストは、同社の武装警備員は互いを十字軍時代の騎士の名前で呼び合っていると言うほどです。彼は2009年にはCEOを辞任したといいますが、まだ影響力を持っていると私は考えています。こうした、アメリカ側の事情も改善していかないと、「国連や国際軍は十字軍だ」というアルカイダの宣伝に打ち勝てないのです。オバマ大統領は就任直後に、「アメリカはあなたたち(イスラム教徒)の敵ではない」と宣言したのは、彼がこうした状況を問題視しているからです。

 BBCのウェブサイトに航空写真を使ったイラスト地図が掲載されています(ここをクリック)。黄色で囲まれたエリアが作戦地域です。やはり、こういう時に頼りになるのはBBCです。地図すら示さない国内報道では、情勢を評価しようがありません。BBCの地図を元にこの地域の地形を調べてみないと、作戦についても評価できません。少し時間をかけて調べてみたいと思います。


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