カンダハル攻略はD-Dayにはならない

2010.3.11


 military.comによると、米軍とアフガニスタン軍がカンダハル州で計画している作戦は、D-Dayのようにはいかないと、スタンリーマクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)は言いました。

 「D-Dayのクライマックスはないでしょう。その時には、治安が上向きになるでしょう」とマクリスタル大将は言いました。夏から始まるカンダハルでの任務は、より段階的になる見込みです。カンダハル(Kandahar・kmzファイル)は、おそらく数ヶ月後に軍が街に入る前に、おそらくは周辺に軍がゆっくりと集中する、より微妙な違いがある、慎重なアプローチが必要でしょう。カンダハルはずっと大きな都市と州で、この地域がより複雑な政治的、部族的な性質があるために、侵入するのにより時間がかかるでしょう。カンダハルの周囲には、ザリ(Zhari)、パンジャワイ(Panjawai)、ケークレズ(Khakrez)、アルガンダブ(Arghandab)、ダンド(Dand)などの地域があり、対武装勢力作戦の専門家は、これらの外郭地域がカンダハルに連合軍が進入する鍵を握っていると言います。

 D-Dayは第二次世界大戦中に北フランスのノルマンディ海岸に連合軍が上陸した作戦を指します。カンダハル戦では、この作戦のように、典型的な侵攻作戦を期待するなということです。まずは、Google Earthでカンダハルとその周辺の地形を確認してみて下さい。農地が中心のマルジャとは大違いで、カンダハル市内は完全な市街地で、それをマルジャのような農地が囲んでいるのです。よって、周辺地域の作戦はマルジャ戦に近い形になりますが、カンダハル市内は完全な市街戦の形になると予測できます。周辺地域も広いので、掃討には時間がかかるでしょうが、それは投入する戦力にもよります。周辺地域では軍の損害はマルジャ戦と同程度と考えればよいのですが、市街地での戦闘では、もっと犠牲が出るはずです。だから、初期の段階で作戦が順調に進んでいるように見えても、安心すべきではありません。イラクでやったような強硬な市街戦はせず、民間人の安全を確認しながら市街戦をするというのは、米軍も初めてでしょう。タリバンにとって、カンダハルは本拠地であり、ここを奪われたくはありません。初期目標を達成するだけでも、数ヶ月間の作戦になるはずです。しかし、この作戦はアフガン戦を考える上で最も重要な作戦です。作戦終了後、秋から冬にかけて、この地域の治安がどうなるかがポイントになります。タリバンの本拠地でアフガン政府が支持を得られるようなら、希望はあります。


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