原潜シカゴ艦長が「飲酒」で解任

2010.3.18


 先日、イージス艦カウペンスの女性艦長が解任されたことを紹介しましたが、今度は米太平洋艦隊の攻撃型原子力潜水艦シカゴの艦長ジェフ・シーマ中佐(Cmdr. Jeff Cima)が「飲酒」が原因で解任されたと、military.comが報じました。

 解任は軍事裁判(court-martial)ではない懲罰委員会(captain's mast)により、シーマ中佐の指揮能力における不正行為と信頼の喪失が理由とされます。

 一昨日、沖縄で起きた交通事故も飲酒が原因でした。米海軍でもストレスが高じ、自殺率が上昇していることが言われています。飲酒や薬物への依存はストレスが原因です。

 報道の優先順位も疑問です。カウペンスのホリー・グラフ大佐の解任も国内では昨日、ようやく報じられました。もともと、グラフ大佐の解任は1月13日で、アメリカでの報道(3月5日)は解任からかなりの時間を置いてからなされました。あまり早期に報じると海軍の権威に関わるという自主規制みたいなものが働いたのかも知れません。日本での報道は、それからさらに時間を置いています。これは変な話で、日本国内に母港を置く戦闘艦の艦長のニュースは遠慮なく報じるべきです。沖縄で起きた交通事故も、私が事件を知ったのは犯人の海軍下士官が逮捕されてからです。自衛官が職務中に人身事故を起こしたら即日報道されるでしょうが、米軍だとひき逃げでも逮捕されるまでは猶予されるのです。米軍の事件ならば優先的に報じるべきです。軍の活動は平時であっても大きな被害をもたらす危険を秘めているのですから、当然、優先順位を高くすべきなのです。民主党政権は、戦後政治の悪癖である対米追従を払拭するために、核密約の存在などを明らかにしていますが、マスコミや国民がほとんど評価していないのはまったく不思議です。過去の政権が手をつけなかった問題を積極的に明らかにして、時代を先へ進めようとする努力は重要です。対米追従を批判しながら、個々の事案に反応を示さないのは、日本人の怠慢というべきです。

 ところで、「アバター」のジェームズ・キャメロンが「The Last Train from Hiroshima: The Survivors Look Back」を映画化すると宣言しています。原作は広島に投下された原子爆弾のドキュメンタリー本です。つまり、日本とアメリカが舞台の映画が制作されるわけです。日本映画界も、このプロジェクトには積極的に参加して欲しいと思います。特に、シナリオの翻訳のプロセスで、不適切なセリフが生まれることがありますから、よいアドバイザーがつくことを望みます。


 最近、原作本に間違いがあり、出版差し止めになったと報じられています。ノンフィクション本はどこかに誤りがあるものです。翻訳も然りで、翻訳本はどこか間違っているかも知れないと思いながら読むべきです。近く修正版が出版されるという話で、修正は5ページ未満とのことです。キャメロン監督も映画化の信念に変化はないと言っており、私は非常に期待しています。


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