military.comによれば、ミサイル巡洋艦カウペンス(USS Cowpens 横須賀が母港)の艦長、ホーリー・グラフ大佐(Capt. Holly Graf)が艦長を解任され、降格処分を受けました(カウペンスの公式サイトはこちら)。
処分の理由は、グラフ大佐が部下の身体を押したり、つかんだり、丸めた紙をなげつけるなどして暴行し、定期的に部下を公然と叱りつけ、過小に評価し、冒涜的な表現を用いて言葉で虐待したこと。大佐の個人的なクリスマスパーティで下級将校にピアノを弾かせたり、犬の散歩をさせたり、私益のために自分のオフィスをつかったこと。訴えは海軍のホットラインに寄せられ、2008年3月から2009年7月まで調査されました。報告書は12月に出され、1月19日にグラフ大佐は解任され、現在は新しい命令を待っています。立証されていないものの、2009年2月に、沖縄沖合で駆逐艦ジョン・S・マケイン(USS John S. McCain)とドラッグレースを行って、艦を危険にさらしました。この件には4人の目撃者がいますが、レース中に2隻がどれだけ接近したかについては意見が異なりました。ある水兵は、このレースは士気向上を狙い、マケインがカウペンスを追い越し、カウペンスの航路の左舷にコースを変えたたと言いました。報告書は、レースがあったことは疑いの余地がないが、艦を危険にさらしたことが証明されていないと書いています。これを証明するには、艦が失わせたり損傷させた実際の出来事、艦が損失するか深刻な損傷を受ける差し迫った危険に置かれた状況があり、艦長がそれを故意に行ったことを示す必要があると、監察官は言いました。海外勤務の長い当局者は、公海上でのレースは珍しくなく、士気をあげるため、一種の操船演習として行われています。
カウペンスもジョン・S・マケインも、第7艦隊に所属し、横須賀を母港にする艦艇です。その艦船の1つで、艦長が解任されたのです。佐官クラスが解任・降格とは珍しいことです。それも、あまり聞いたことのない理由で、しかも「女性の艦長」です。こんな武勇伝は聞いたことがありません。マケインとのレース騒ぎは、どちらの艦の操船で船が接近したのかが明確ではありません。記事を読む限り、マケインが前方を左舷へ移動したようですが、これがカウペンスの動きによって起こった可能性もあります。これは、艦橋にいて当時の状況を知る乗員が詳しく語らず、明らかになっていない可能性もあります。彼女が第7艦隊の将校だったことは、日本人である我々に大きな不安を抱かせます。艦艇の乗員の人間関係は、外部の人間には知りようもなく、リーダーシップが崩壊した艦が武器を搭載して、日本の周囲で活動しているとは、誰も考えたくありません。しかし、これが現実だとすると、この程度だと思って米海軍を見るべきなのかも知れません。