military.comによれば、アフガニスタンに駐留するNATO軍が新しい夜襲の方針を発表しました。これは1日付けの記事で紹介していた方針の詳細です。
スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)の命令の抜粋はこう書いています。「夜襲は効果的で、作戦上の価値がありますが、アフガン国民の認知に関して大幅な代償をもたらします。アフガンの文化では、人家は単に彼らの住居ではありません…損害や怪我がなくても、アフガン人は深く冒涜され、不名誉だと感じ、彼らの支持を非常に難しくします」。命令は兵士に「夜襲を行う前に、他の可能な選択肢をすべて調査せよ」と命じています。夜襲を行う場合、アフガン兵が先行します。つまり、侵入される住居の住人が目にして、声を聞くのはアフガン兵ということです。すべての夜襲にはアフガン軍が同行し、アフガン政府は事前に通知され、可能なら、コミュニティの年長者の意見を聞く必要があります。すべての捜索はアフガン軍によって行われ、女性を調べるときは女性が行います。所有物の押収や損害の補償はすでに慣習となっています。
私としては、マクリスタル大将のソフト路線が効果を出すことを願うばかりです。これから半年から1年間、アフガン人の世論がどう変わっていくかを見守らないと、この方針の真価は分からないでしょう。これまで、無神経な軍事作戦が大衆の支持をタリバンへ向けてきました。軍隊が方針を変えても、民間軍事会社の社員が引き起こす事件も事態を悪化させてきました。カール・レヴィン上院議員(Sen. Carl Levin)は、先日の記者会見に続き、ブラックウォーター社(現在のXe社)と国防総省が契約する場合、慎重に検討しろとロバート・ゲーツ国防長官( Defense Secretary Robert Gates)に依頼しています(military.comの記事はこちら)。こうした方針はアフガンだけでなく、他の地域で行われるかも知れない対武装勢力作戦でも応用されることになります。米軍は欧州連合が行うソマリア軍の訓練に参加する計画です(military.comの記事はこちら)。5月に最高で2,000人のソマリア軍がウダンガの基地に集まり、200人のヨーロッパ人の教官が訓練を開始します。アメリカはそれに参加する方法を模索しています。ソマリアはアルカイダとつながりがあるアル・シャバブ(The Al-Shabab)の民兵によって支配され、ソマリア政府とアフリカ連合の平和維持軍は首都モガディシュの2〜3ブロックでしか活動していません。ブラックホークが撃墜され、特殊部隊員が死傷した事件では、米軍は地元民の意向などまったく気にしないで、自分たちの考えで行動して失敗をしました。今度は同じ失敗をしないという決意、具体的な準備が必要です。しかし、いまや先進国は資金を与え、教えを垂れるという発想を止め、発展途上国と共に歩む発想が必要だと考えます。まだ、そんなことが公に言われたことはありませんが、数年の内には、共通の認識として叫ばれるようになると想像します。この対テロ戦は、従来の先進国中心の国際社会のあり方も変えるはずです。