military.comが、アフガニスタンでIEDによる昨年の犠牲者は連合軍全体で2倍になったと報じました。
統合即製爆発物対策機関(the Joint Improvised Explosive Device Defeat Organization: JIEDDO)を率いるマイケル・オーツ陸軍中将(Lt. Gen. Michael Oates)によれば、昨年、アフガンで爆発物のために死亡した連合軍兵士は322人で、負傷者は1,813人でした。2008年には死者が183人、負傷者が790人で、約2倍の増加です。しかし、オーツ中将は、無人偵察機と特別に設計した装甲車、米軍の蓄積とアフガン人から得た情報が問題を解決し始めていると言います。「私は実際に、あそこでは状況が毎月、我々に好転しているのを見ています。敵、タリバンは簡単には降参しようとしません。しかし、私は彼らがここで直に、高水位線にぶつかると考えます」とオーツ中将は言います。中将は連合軍兵士がIEDの道路を一掃しようとすると、さらに犠牲が出ると予測しますが、昨年と同じレートではないと言います。「我々が対IED戦を向上させるのに必要なすべての要素は、実現の途中か、現在存在しており、私のプロとしての判断は、我々は昨年やったよりも今年はうまくやるだろうということです」と中将は言いました。3年前、米軍はイラクでもっとひどいIEDの脅威にさらされましたが、結果的には問題を収めました。努力から得た戦術と教訓は、いまアフガンに適用されているところですと、中将は言います。米国防総省は、技術者とより多くの無人偵察機、現地指揮官が対IEDのために要請したアフガンの地形に合わせて設計した装甲車をアフガンに急派しようとしています。軍はIEDを探知する装備も向上させようとしています(具体的な方法は書かれていません)。IEDはNATO主導の軍に最も多く損害を与えており、犠牲者の90%がIEDが原因です。今年1月にIEDで死亡した米軍兵士は21人(非米軍兵士は10人)、2月は14人(同15人)、3月は16人(同5人)でした。
オーツ中将の言葉は、まだIEDに対する対策が十分ではないことを示していると、私は考えます。去年よりはうまくやるだろうでは、努力はしているが効果のほどは分からないと言っているのと同じです。こんな新しい対策が出たという話がないことは、それほど進歩がないことの証です。イラクでIEDによる犠牲者が激減したのは、対策が完成したからではなく、スンニ派がアルカイダに協力しなくなったり、シーア派民兵組織のマハディ軍が武闘路線を止めたりしたからです。彼らが再び闘争を始めれば、一気に犠牲者が増えることもあり得ます。とにかく、今年の状況を観察しないと、オーツ中将の言は信じられません。現実的には、中将が言うようにはならないと予測します。
なお、キルギス共和国の米軍基地の問題について、military.comがさらに報じています。それによると、プラハの核軍縮調印の前に、オバマ大統領とメドベージェフ大統領がこの問題で会談しています。ローザ・オトンバエワ(Roza Otunbayeva)は、ビシュケクでこの件に関して政府が米外交官に会うとも言っています。一部報道機関が懸念しているような、全面的な閉鎖にはなりそうにありません。人間が行う駆け引きは複雑です。対テロ戦以降の大国同士の駆け引きの特徴を意識しないと、現状は読めないのです。
それから、先日紹介した、オバマ大統領はアメリカ国民ではなく、自分にアフガン派遣を命じることは出来ないと主張するテレンス・ラーキン中佐(Lt. Col. Terrence Lakin)について、陸軍が12日にはじまる派遣準備のために、中佐にフォート・キャンベル基地に出頭するよう命じる手紙を公開しました(前の記事はこちら)。military.comの取材に対しても出頭するかどうかを答えていません。ラーキン中佐が派遣に応じると答えても、大統領への無礼な発言を禁じる第88条により起訴される可能性があり、有罪になった場合は、どんな刑罰でも不名誉除隊が避けられません。
ART. 88. CONTEMPT TOWARD OFFICIALS
Any commissioned officer who uses contemptuous words against the President, the Vice President, Congress, the Secretary of Defense, the Secretary of a military department, the Secretary of Homeland Security, or the Governor or legislature of any State, Commonwealth, or possession in which he is on duty or present shall be punished as a court-martial may direct.
第88条 公人侮辱罪
大統領、副大統領、連邦議会、国防長官、軍事省長官、国土安全保障省長官、州知事もしくは、すべての州、コモンウェルス、もしくはその者が勤務するか存在している領域の議会に対して、軽蔑する言葉を用いたすべての将校は軍事裁判が命じる罰に処する。
※軍事省
陸軍省、海軍省、空軍省のこと。平時には沿岸警備隊は国土安全保障省に、有事には海軍省に所属。
※コモンウェルス
ケンタッキー州、マサチューセッツ州、ペンシルベニア州、バージニア州の4州のこと。