military.comによると、アフガニスタンの人口集中地帯を保護する「再編成(realignment)」方針のために、NATO軍は武装勢力の攻撃にさらされ、再補給と増員が難しいパキスタンに隣接するコレンガル峡谷(Korengal Valley)から撤退しました。
アフガンに駐留する国際軍の統合指揮官デイビッド・M・ロドリゲス中将(Lt. Gen. David M. Rodriguez)は、「この動きは軍が必要に応じ、コレンガルやこの地域の他の場所での危機に迅速に反応することを妨げません」と言いました。コレンガル峡谷は東部のクナール州(Kunar province)にあり、アフガンで最も危険な地域の1つです。険しい山岳地帯は武装勢力の完璧な狩りの場となっています。2005年に海軍特殊部隊シールズを救出しようとしたヘリコプターが彼らを運んでいる時に撃墜されて16人が死亡し、2001年の戦争開始以来、米軍が単一の攻撃で最も多く死者を出した事件の1つとなりました。以来、武装勢力は谷をパトロールする小規模な米軍部隊を攻撃するために洞窟や樹木を隠れるのに使いました。ここは、現地の部族がコレンガリ語(Korengali)を話し、サウジアラビアで最も一般的で、オサマ・ビン・ラディンとタリバンが順守する厳格なイスラム教のワッハーブ派(Wahabi)を固守するタリバンの温床です。4,500人の住人は長きにわたって中央政府やアフガンの他の地域から来た部隊者とも敵対してきました。撤退は先週、ヘリコプターで秘密のままに実施され、約120人の兵士がベニヤ板、土のう、石で造られた丘の上の胸壁から解放されました。当局者は、6マイル(10km)の峡谷の北端にある基地は、武装勢力がアフガン内部に移動するのを妨害するために置かれたままだと言います。タリバンのコメントは得られていません。
記事の後半には最近起きた事件がいくつか書かれていますが、本題に関係がないので省略します。
新戦略への転換は必要ですが、タリバン側からすれば、国際部隊を撤退させたことになり、「勝った」と宣伝できます。それは仕方がないことですが、問題はその上で国際部隊がタリバンを最終的に打倒するか、彼らが撤退した後でアフガン政府がタリバンを打倒するという最終的な勝利が得られるかです。これさえ手にすれば、いま撤退したとしても別に惜しくはありません。しかし、それが達成できるとは、私は現在、信じられずにいます。このため、タリバンがこの件で「勝利だ」と言えば、同意してしたくなります。前にも書いていますが、前哨基地を放棄すれば、タリバンを人口集中地帯に集める危険もあります。この新戦略には問題点もあるのです。こうした、やむを得ない戦略・戦術の変更をするように追い込まれない工夫が戦争には必要です。残念ながら、対テロ戦ではすでに、こうした有益な選択肢が失われています。その大半は国際社会が自分で捨ててしまったのです。本来は、敵にジョーカーをつかませるべきなのに、国際社会はそれがスペードのエースだと信じてしまったのです。しかし、新戦略は軍の損害を減らすのには役立つでしょう。それだけが唯一の希望です。
それから、military.comによると、海外派遣に応じないと宣言したテレンス・ラーキン中佐(Lt. Col. Terrence Lakin)に対して、無許可離隊(AWOL)の容疑で捜査が始まりました。中佐は二度と軍に戻らないのではなく、オバマ大統領の米国籍が確認されない限りと言っています。脱走罪は二度と軍に戻る意志がない場合に科せられるので、ラーキン中佐は無許可離隊とされるのです。すでに、指揮官による処罰の範囲を超えているので、いずれ中佐は逮捕されて、軍事裁判にかけられると、私は考えます。ところで、記事のタイトルにある「Birther」という言葉ですが、最近はバラク・オバマが大統領になるのに必要な米国籍を持っていないと主張する人たちを指す意味で使われるようになっています。