military.comによれば、米軍の退役兵への補償費用が急騰しています。
シカゴ・トリビューン紙のアナリストによると、昨年、ベトナム戦争、湾岸戦争、「テロに対する世界的な戦争」の時代に軍務についた退役兵への障害者給付金が支払われた精神病は、220億ドルの精神病予算の35%を占めました。精神的な傷を持つ退役兵に補償することは、2003年以降の軍務関連の障害者の費用を76%急騰させました。この研究は経費が急騰し続けることを示唆します。最近の国防総省の調査は、過去4年間で、精神障害に起因してイラクとアフガニスタンから帰国した軍人のパーセンテージが急激に増加したと言います。約100,000人のアフガンとイラクからの帰還兵による別の調査は、31%が精神衛生と心理的な問題を持っていると診断されていることを見出しました。「PTSDの異常発生を見るとき、あなたは未来を見るのです」と「世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃(The Three Trillion Dollar War: The True Cost of the Iraq Conflict.)」の共同執筆者リンダ・ビルムズ(Linda Bilmes)は言います。復員軍人援護局の記録によるトリビューン紙の分析は、復員軍人の心因性傷は遙かに高くつく障害であることを見言い出しました。ベトナム戦争以来の戦時期の退役軍人へのPTSDやその他の精神状態の補償費は、すべての障害の平均値の4〜5倍です。また、PTSDの犠牲者は、他の障害を持つ退役軍人よりも、最も深刻で費用がかかる精神的な問題を被っているらしいことも分かりました。復員軍人援護局は昨年、精神障害を持つベトナム戦争の退役軍人に補償するのに約56億ドルを費やしました。10ドルのうち4ドルがベトナム戦争の傷痍軍人に支払われたのです。
記事には、傷痍軍人の実例が多数書かれていますが、ここでは重要な数字だけをまとめました。
時間がないので、簡単にまとめます。すでに、このウェブサイトでも何ども言及していますが、戦争には直接戦争にかかる費用だけでなく、こうした負傷兵の補償にかかる費用は、確実に国家経済を圧迫します。しかも、こういう数字はすぐに目に見える形にならない点が重要です。アメリカの国防費用は国防総省や復員軍人援護局が払った国防予算だけですが、実際には他の政府機関も戦争に金を使うのです。それらを総計して、はじめて正確な数字が分かるのです。しかし、数字が本当に正確なのかは誰にも分からないほど複雑です。つまり、戦争を行うときは、できるだけ小さいものにすべきであり、できるなら戦争はしない方がよいわけです。日本は小泉政権の時、総理の呼びかけで多くの人が、自衛隊をイラクに派遣することに賛成しました。小泉総理の支持率は記録的で、いかに日本人がイラク侵攻を支持したかが分かります。しかし、それが生んだのは、こういう現実です。アメリカの経済が悪化すれば、日本にも悪影響があることをも忘れるべきではありません。当時、そんな心配をする識者の意見を聞いた記憶が、私にはありません。