military.comによれば、先日、ロバート・ゲーツ国防長官が将官の大幅削減を発表したのと足並みをそろえ、NATO軍も同様の削減を行うと発表しました。
NATO軍最高司令官ジェームズ・スタブリディス海軍大将(Adm. James Stavridis)は月曜日に、将官や提督の大幅な削減をすることを模索すると述べました。ゲーツ長官はアイゼンハワー図書館の演説で、1990年代以来、ヨーロッパに駐留する米軍は約40%まで削減されたのに、将官と提督は約半数のままだと言いました。長いこと、NATO軍は兵士の割に上級将校が多すぎる問題を検討してきました。しかし、多くのヨーロッパ諸国は財政上の問題と戦い、連邦の赤字は米国防総省の予算を圧迫していますが、NATO軍の支出は増加しています。米国防総省の今年の予算は7,080億ドルで、その40%は同省の官僚機構を維持するためです。スタブリディス大将が考えていることの一つは、ヨーロッパ駐留米陸軍のように、現在4つ星の将官が率いるヨーロッパ人の指揮をより下位の上級将校にして、幕僚をより小規模にすることです。この計画的な削減は実質的というよりは象徴的です。しかし、これは古い慣習を大幅に改良しようとするゲーツ長官の試みの一部を現しています。
軍の慣習では、トップの指揮官の階級が決まると、それに従属する部下のリストがほとんど自動的に決まります。このため、任務の内容が変わっても、特に必要のない人がリストに並び、長期間そのままに放置されることがあります。皮肉な見方をすれば、財政上の問題や対テロ戦により、国防予算を節約する必要が生じたので、欧米諸国は慌ててそれに対処しようとしている訳です。しかも、些末な部分の節約ではなく、将官の数を減らそうというのは、軍の根幹部分に関わり、当事者である将官たちの猛反対を招くような問題です。そこに手をつけざるを得ない状況が来ているのです。前から言っていますが、対テロ戦が財政をより圧迫し、いずれ限界が来ることは、少なくとも2003年から公的に語られていました。そこから7年経って、遂に行動を起こすべきレベルまで事態が悪化しているのです。私はこれを、貧しいゲリラに豊かな国の軍人が敗北したのだと考えます。本来、こうしたことは、軍人が主導で行うべき問題でした。それができないから、ゲーツ国防長官が政治家の立場から動きを起こしたのです。それで、ようやくNATO軍では軍人が声をあげたというわけです。これでは、軍人たちは国を守っているのではなく、自分の椅子を守っているだけだと言わざるを得ません。まったく本末転倒な話です。しかし、大規模な組織では、こうした弊害はしばしば起こるものなのです。それは軍事を考える上で、忘れてはいけない視点です。