タリバンがバグラム空軍基地を攻撃

2010.5.20


 military.comによれば、アフガニスタンでタリバンが水曜日の未明にバグラム空軍基地を攻撃しました。

 午前3時に始まったバグラム空軍基地へのロケット、小火器、手榴弾による攻撃で、少なくとも10人の武装勢力が死に、7人の米軍人が負傷しました。攻撃は正午頃に収まりました。自爆テロ犯がカブールの中心部でアメリカの輸送隊を攻撃し、米軍とカナダ軍の兵士5人を含む18人を殺したたあと、この攻撃が行われました。一連の攻撃は、今月初めにタリバンが発表した攻撃の一部と思われます。タリバンはカブールでの自爆テロと、カブールの北50kmにあるバグラム空軍基地への襲撃で犯行声明を出し、両方の事件に20人の自爆志願者が参加したと言いました。基地の建物が損害を受けましたが、任務に必須の建物ではありませんでした。NATOの文民高官は、武装勢力が基地の防御を破ろうとして押し戻されたと言いました。アフガンの地方警察指揮官アブドル・ラーマン・セイドカイル将軍(Gen. Abdul Rahman Sayedkhail)は攻撃の模様を語りました。攻撃は自爆志願者が基地の外で車の中にいるのを視認された時に始まりました。米兵は発砲をはじめ、少なくとも1人の自爆犯が自爆ベストを爆発させた銃撃戦を誘発しました。

 この攻撃を評価するために必要な部分だけを訳しました。輸送隊への攻撃については、別の記事でも報じられています(記事はこちら)。

 こうした襲撃で、基地を破壊することができないのは当然です。しかし、タリバンが首都や厳重に警備されている基地の間近まで、武器を持って接近できたという事実は残ります。特に、カーブル市内で輸送隊を自爆攻撃で襲うとは大胆です。自爆テロ犯が基地へ忍び込むのではなく、真ん前へ車で乗り付けるのは、まるで最初から攻撃が成功しなくてもよいと考えているかのようです。軍事的に意味があるとは思えない行為ですが、タリバンはこういう攻撃を好みます。戦果を生まなくても、行動することに意味があるといった考え方をするのです。多人数で基地周辺に集まって、攻撃を行うのは無理なので、宣伝材料になる攻撃を続けるという意味合いもありそうです。こういうやり方でも、たまには大きな損害を出します。だから、これが長期間に渡って続くと、まとまった損害になるかも知れません。それが敵の退却を呼ぶことを気を長くして待っているのです。すぐに成果を出さないと許されない先進国とは考え方が根本的に違い、これが彼らには強みとなっています。

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