military.comによれば、最近起きたアフガニスタンでのタリバンの攻撃は、彼らの新しい戦略を示しているかも知れません。米軍の戦死者が1,000人に近づき、52%の米国民が戦争を無価値とする時に、一連の攻撃が起きたことは、タリバンの新戦略ではないかというのが、この記事の主旨です。
米国防総省のブライアン・ホイットマン(Bryan Whitman)は、攻撃が調整されたタリバンの戦略の一環だったかどうかを決定するには早すぎ、「私は2つの事件に関して結論を出すことには慎重です」と言いました。オバマ政権の上級当局者によれば、攻撃を対ゲリラ戦略が失敗しているとはみなさず、住民の支持を得る戦略を変更する予定はありません。アフガンとワシントンの初期評価は、水曜日のバグラム空軍基地への正面攻撃は、タリバンが警備が厳しい施設にも、やろうとするなら接近することを見せるために計画されたことを示唆しています。「米軍事力最大の集中地を攻撃することは『見ろ。タリバンは優勢なゲリラ組織だ。我々は最も強力な標的ですら攻撃する』というアフガン人へのメッセージです」と、元CIAの対テロセンターのアーテューロ・ムニョス(Arturo Munoz)は言います。バグラム空軍基地はアフガンでの米軍最大の基地で、首都カブールの北にあります。早朝の攻撃は、アメリカ人の請負業者1人を殺し、9人を負傷させました。1日前、武装勢力は首都の中心部を攻撃し、米兵5人とカナダ兵1人を殺しました。これは8ヶ月間でカブールにおけるNATOへの最も致命的な攻撃でした。現在、ランド・コーポレーションにいるムニョスはこの攻撃に関連があることを確証していると言います。「タリバンは攻勢を約束しましたから、時期は的確でした」。鮮烈な攻撃はメディアの注目をひき、比較的小さな犠牲とそれが生じた心理的なダメージを背景に、心理的なパンチを与えることを目的としています。
要点だけまとめましたが、今ごろ、こんなことを言っているようでは話になりません。
ゲリラ戦は常にこういう性格を持っています。正面切って勝てないのだから、将来的な勝利を求めて、できる範囲で最大の打撃を与えるのがゲリラ戦です。アルカイダの同時多発テロ自体がこういう種類の攻撃だったと言えます。タリバンもアメリカ人がずっとアフガンにいたいと考えないことくらい知っています。本国に快適な生活があるのに、アメリカ人があえてアフガンで苦労したがるはずがなく、いずれ帰っていことくらい、彼らは理解しています。
対ゲリラ戦をやるというのなら、最初からそれを前提に戦略を立てるのが軍事の常識というものです。問題は、同時多発テロがアルカイダからアメリカへの決闘の申込みのように見えたことです。相手が手袋を投げて見せたのだから、アメリカは決闘を受けなければならないと考え、正規軍同士の戦略で戦おうとしたところが間違いの元です。現在のアフガン政府である北部同盟を味方につけ、カブールからタリバンを追い出したときのアメリカのはしゃぎぶりは、今でも記憶に残っています。アフガンでは過去にイギリスもソ連も敗北したのに、アメリカは短期間でやってのけたと自画自賛したのです。当時、私はニューズウィーク誌日本語版に、それが大きな間違いであることを投稿しました。アメリカは独立性の明確な社会を持っており、その中にいることはあまりにも快適で、そのために世界の実態を見誤ることがあります。その範囲でだけ世界を解釈しようとすると、アメリカがアフガンに乗り込んでタリバンを追い出したのだから、これは何もかも成功した証拠だということになります。理屈は通っていますが、戦争の実態はもっと複雑で、悪いものを抱えていることを忘れています。前にも書いていますが、植民地解放戦争の歴史を思い出すことです。アメリカがいまやっているのは、そういうタイプの戦争なのです。それを理解できないのでは、アメリカは普天間移設問題で、基本的な軍事知識の欠如をさらけ出した鳩山政権すら無知と笑うことはできません。