国内でも報じられているとおり、北朝鮮は韓国とのすべての関係を断ち切るとのことです。military.comの記事から、気になる部分を抽出しました。
北朝鮮は開城工業地区にいる韓国側の官僚を全員追放します。北朝鮮は李明博大統領が2013年に退任するまで、韓国とのつながりをすべて断ち切ると宣言しました。韓国の船舶と大型旅客機は、北朝鮮の領域を通り抜けることを禁止します。北朝鮮は韓国の心理戦に対して全面的な反撃を開始します。韓国統一省はコメントを避けましたが、広報官イ・ジョンジョ(Lee Jong-joo)は、開城工業地区から追放されるのが韓国の官僚8人だけで、約800人の韓国企業の経営者や労働者ではないことを指摘しました。韓国も工業地区を閉鎖しないことに決めたので、聯合通信は北朝鮮が開城工業地域を完全に閉鎖する意図がないことを示唆すると報じました。金正日は120万人の軍隊に戦闘の準備をするように命じましたが、韓国当局はまだ記事を確認していません。ソウルに拠点を置く「北朝鮮知識人連帯(North Korea Intellectuals Solidarity)」は、金正日が戦闘準備を命じ、このグループは特定されない情報源を引用し、この命令は金正日の側近、呉克烈(オ・グリョル)大将が読み上げ、各家と主要な公共の場所に設置されたスピーカーから放送されました。韓国軍はは北朝鮮軍に通常と違う動きの兆候はないと言います。
一見、北朝鮮は全面戦争を宣言したようですが、そうではないことが声明の中に表れています。関係断絶を李明博大統領の任期中に限定したのは、関係復活を北朝鮮が想定している証拠です。開城工業地区から官僚だけを追放したのは、聯合通信の言うとおりに、北朝鮮が開城工業地区を完全に閉鎖する気がないことを示しています。つまり、対抗措置のように見えますが、韓国がやると言った制裁のオウム返しであり、実は自分では何もしていないのと同じです。全軍に戦闘準備命令が出たのに目立った動きがないのも、具体的な作戦が予定されていない証拠です。朝鮮日報が、サンオ型潜水艦4隻が24日から行方がつかめないと報じているくらいしか、動きはないようです。38度線で再開された巨大スピーカーによる宣伝放送に対して、北朝鮮は狙撃で応じると宣言していますが、今のところ、発砲があった様子はありません。これでは米軍が警戒態勢を敷かないのも当然です。
38度線の板門店見学ツアーが実施されているかが気になります。このツアーは、軍事境界線内で北朝鮮軍と韓国軍が共同で警備する場所を見学するため、不穏な事態があると中止されます。同ツアーを開催している「コネスト」のサイトによると、「天安」撃沈事件後もツアーは行われており、予定では今日も実施されます。到底、戦争が迫っているとは言えません。
北朝鮮は李明博大統領の声明を読み取れていないようです。大韓航空機撃墜事件よりも死傷者が少ないから、それほど韓国が怒らないと考えているのなら、それは判断ミスというものです。この声明は、韓国と北朝鮮の関係が決定的に変化したことを示していますが、北朝鮮はいつもの声明としか理解しなかったのでしょう。経済、外交上の制裁を中心としている声明でしたが、武力攻撃に対しては、攻撃が発せられた基地に対して攻撃すると述べています。つまり、行方不明のサンオ型潜水艦が何か攻撃を行えば、東海岸にある遮湖海軍基地を攻撃することになります。北朝鮮がこの意味を理解しているのかが、気になるところです。