military.comによると、アフガニスタンのカンダハル市のNATO軍基地の外で自動車爆弾が爆発し、アフガン人2人を負傷させ、複数の車を破壊しました。
現地時間11時30分、カンダハル市、ネイサン・スミス基地(Camp Nathan Smith)のアフガン人の訪問者用駐車場で爆発が起こりました。基地には数百人のカナダ軍、米軍憲兵隊、開発計画に従事するアメリカとカナダの政府請負業者がいます。警備員1人と基地で働くアフガン人1人が負傷し、1ダース以上のバイクと自転車、駐車していた11台の車が破壊されました。犯行声明は出ていません。
犯行声明はないものの、攻勢を宣言したタリバンが再び基地の間近で攻撃を敢行したと考えるべきでしょう。 これも、いつでも外国軍を攻撃できることを示すために行われたに違いありません。訪問者の中にテロリストが混じり込んでいることが、外国軍に不安を起こさせることを狙っています。いずれ、基地内に入り込んで自爆テロが行われる可能性があります。イラクでは、過去にそうした事件が起きました。この事件はそうした動きが本格化する前兆だと思います。
military.comによると、イラクでは米軍とイラク軍が北部の都市、ティクリートでスンニ派の武装勢力、ナクシュバンディ軍(the Army of al-Naqshbandi: JRTN)を探しています。米当局者は、JRTNを14世紀の神秘的なイスラム教からインスピレーションを得た、フセインのバース党の復活版で、元イラク軍将校と反米国家主義者のインターネットに精通した者たちの集まりと説明します。無差別に民間人を殺すアルカイダと違い、JRTNはアメリカ人だけを攻撃します。攻撃が命を奪うことは滅多になく、爆発物に耐えるように設計された車両に手榴弾を投げたり、ガソリン缶に取り付けた小さな爆発物で特徴付けられますが、資金調達で大きな成功を収めました。JRTNを排除するのは難しいことが分かりました。グループと親しい部族がティクリート南部の砂漠地帯を支配しており、地元警察の大半が同じ部族で、JRTNに同情的です。
こうした武装組織の台頭は将来のイラクの混乱を予告しているかも知れません。いまは大した活動をしていなくても、やがて戦略を変更し、シーア派を攻撃するようになる可能性があります。そうすれば、再びスンニ派とシーア派の報復合戦が展開されることになります。
イラクとアフガンの情勢が同時に不安定にになり、北朝鮮がさらに韓国に対して攻撃的になると、米軍でも対処は難しくなります。ゲーツ国防長官が最近述べたように、いまやアメリカには二正面作戦を行う余裕はありません。金正日がこういう状況を利用しようと考えないことを祈るしかありません。こんな風に2ヶ所に敵を抱えると対処は急に難しくなります。そういう状況にならないように、平時から考えを詰めておく必要があります。ブッシュ政権のイラク侵攻に小泉政権が賛同したとき、日本国内でも対米追随しか考えない人たちが支持を表明しました。私は当時から、イラクにアメリカが戦力を集中させることは、日本周辺の防衛を手薄にするので、日本がイラク侵攻に賛成する理由はないと主張しました。すでに何度も説明していますが、イラク侵攻には正当性も軍事的価値もないことも合わせれば、本当に賛成しようのない話でしかありませんでした。北朝鮮問題では、日本は韓国に次ぐ当事国であり、問題が悪化すれば日本も何か行動を迫られます。自衛隊を動かせという話にもなりかねません。アメリカに余裕がある場合、アメリカは自分に任せておけという態度をとるでしょうが、危なくなると日本に協力を求めてきます。そういう場合、日本が何をしなければならないかを考えれば、イラク侵攻には渋い顔をしておくべきだったのです。
どうして日本の政治家はいつも軍事問題では的確にコメントしたり、対処したりできないのかが不思議です。北朝鮮の天安撃沈に対して鳩山総理は「許し難い」という最大級の批判を行いました。韓国を支持することを表明するのは当然ですが、この段階でここまで口にする必要はなく、韓国からの報告を待っているところだとか、報告を見て必要な対処をとるとか、適当にぼかしておく方が、より多くの選択肢を手元に残せたのです。