パキスタン首都近くで輸送隊が炎上

2010.6.10

 military.comによると、パキスタンの首都の近くで輸送隊が武装勢力の攻撃を受け、輸送中の車両多数が破壊されました。

 過去2年間の攻撃と違い、今回はイスラマバードから約6マイル(10km)離れた、アフガニスタン国境に続く幹線道路で行われました。この攻撃は7人を殺し、補給線の脆弱性を示しました。アフガニスタンの西欧部隊の燃料と補給品の大半は、カラチ港に到着した後、パキスタン国内を移動します。AP通信のカメラマンは、約60個のコンテナがトラック発着場で破壊されているのを見ました。多くの車両はハンヴィーのような軍用車両を運んでいました。トラックに放火する前に、約15人の武装勢力と見られるグループが自動火器やRPGで攻撃しました。死亡した7人は身元が特定されていませんが、ドライバーや助手として雇われていたパキスタン人だとみられます。さらに、7人が負傷しました。輸送隊への攻撃は、アフガンへの新しい補給線を開くアメリカの努力を急かせましたが、指揮官たちは作戦への影響は出ていないと言っています。銃、爆弾、弾薬は、毎週数千が輸送されるトラックでは運ばれていないと考えられています。

 別の記事は、アフガンのヘルマンド州で米軍のヘリコプターが武装勢力に撃墜され、米兵4人が死亡したと報じています(記事はこちら)。


 同時期に近くで起きた武装勢力との衝突も記事に書かれていますが、輸送隊への攻撃とは直接関係がないので省略します。

 記事の写真を見る限り、かなりの損害が出ていると考えられます。首都近くなので、テロ攻撃はないと考え、発着場に多数のトラックを駐車させていたところ、武装勢力が接近して攻撃したというわけです。アフガンで米軍がヘルマンド州の制圧に血眼になっている最中に、パキスタンではテロが激化しています。すでに、インドに近い東部でも事件が起きるようになっており、パキスタン全土が戦闘地域になりつつあるといって過言ではありません。イラク、アフガンの次は、パキスタンが戦いの中心となるわけです。

 依然として、テロリストの方が先を走り、国際社会は後塵を拝しています。このように、戦いを有利に進めるには、自分が選んだ戦場で勝つことです。「敵がいないところを攻撃しろ」、「決して敵と正面で戦うな」とは、孫子が述べた戦略です。こうした攻撃があるたびに、作戦に影響はないというコメントが米軍から出ます。しかし、地元の輸送会社への補償金や失った装備品の補充など、多額の費用が必要となることを忘れるべきではありません。軍人はコスト意識が希薄です。政府は予算をつけてくれるとしか考えないからです。アメリカは、このように敵に振り回され、余計な金を使わされ、徐々に限界点に近づいていくのです。カエルがゆっくりと加熱されるお湯の中にいるのと同じです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.