朝鮮日報が17日付けで、5月に金正日総書記が中国を訪問した際、金正日は胡錦濤国家主席に戦闘機「殲10」の提供を求め、断られていたという消息筋の情報を報じました。
この際、胡主席は、北朝鮮が攻撃を受けた場合、十分な支援を行う用意があり、北朝鮮が最新兵器を保有する必要はないと説得したといいます。また、李克強副首相が出迎えた際、金総書記と李副首相の腕がぶつかり、それを北朝鮮の護衛が李副首相の腕を押しとどめ、中国側の護衛が北朝鮮の護衛を制止しました。
消息筋の情報だけですが、胡主席の発言は、中国の北朝鮮に対する戦略を明白に示しています。北朝鮮は、万一戦争になった場合に備えて、弱体化した空軍を強化したいのです。米韓の戦闘機に北朝鮮の旧式戦闘機では歯が立たず、戦争になればあっという間に制空権を取られることは明白です。それは地上軍が制空権を活用しつつ、進撃してくることを意味します。そこで、北朝鮮は中国に泣きついたわけです。しかし、中国は北朝鮮に緩衝地帯としての役割しか期待しておらず、死なない程度に生きて欲しいだけですから、最新鋭機を渡す気にはならないのです。しかし、胡主席が金総書記に有事の際に軍事的な支援を約束したのには驚かされます。朝鮮半島に対する中国の真意が、ここにすべて表れています。
護衛同士の小競り合いも、北朝鮮と中国の関係がぎくしゃくしていることを象徴しているように思えます。この二ヶ国の関係は、切るに切れないものなのです。