military.comによれば、米軍のイラク撤退は60%が完了し、撤退期限より2ヶ月先行しています。
バグダッド空港の端にある、キャンプ・ビクトリーなど8ヶ所の基地で、米兵たちは大量のハードウェアや補給品を、本国へ戻すか、アフガニスタンへ送るか、廃棄するかで選り分けています。8月31日以降は50,000人がイラクに残ります。2009年2月以降、32,000台の車両がイラクから出て行きました。車両はアフガンへ移動するかアメリカへ戻す前にクウェートへ輸送されます。その他の約800,000個の装備品が目下、コンテナ詰めでイラクに置かれています。キャンプ・ビクトリーは、イラク北部のほか4ヶ所、西部の1ヶ所、南部の2ヶ所の場所と共に移動作業の中心的ハブです。現在、84,000人の米兵がイラクにいます。車両を処理するのには1時間かかり、車列で南へ向かう前に3〜5日間、そこに留まります。キャンプ・ビクトリーから、毎日30〜40台の車両が出発します。イラク軍当局者は、イラク政府は戦闘部隊の撤退ペースを歓迎しており、重要な装備品は地元の部隊に与えられると強調しました。9,140万ドルとされる余剰の装備品は目下、イラク政府の手にあり、ライフル銃用弾薬のような補給品はアメリカへ輸送するのは不経済なので、残されます。これにアメリカが承認した20億ドルのイラク軍基金によって改修したハードウェアと施設が加えられます。一部の装備品はイラク軍に与えられますが、使えなくなったので破壊される大量の資材があります。キャンプ・ビクトリーでは、使い古した軍用トラックが解体され、地元の金属業者に売られています。コンピュータとプリンタは巨大なシュレッダーで破壊されています。巨大な磁気式のクレーンで、装備品を満たした、40×20フィートのコンテナ50〜70個が、クウェートへ向かう大型トラックへ積み込まれています。
イラクの民間人と軍人の死者は毎月、数百人のままで、米軍の撤退はイラクの治安に懸念を与えています。ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン(Michael O'Hanlon)は、8月31日の撤退を懸念の要因とすべきでないと言います。「私は全般的に楽観しています」「『戦闘任務』の終わりは語義上の変化であり、50,000人の残存部隊には十分な能力があります」「すでに一年間、我々が都市から出ていたという事実は、撤退が十分に実現可能ということを示しています」。
防疫の観点から、車両はイラクから出す前に水洗いして、土壌を除去しなければなりません。こうした作業に時間がかかることは、湾岸戦争時の撤退作戦に時間がかかったことでも分かります。今回は計画的に、時間をかけて準備しているので、それほどの問題は起こらないと考えられます。なにより、作業が順調なのは結構なことです。
また、撤退による治安の悪化を心配する声が出ているようで、記事はそれに対する答えを書いています。オハンロン氏が言うとおりで、すべての米軍が撤退するわけではありません。今後も5万人もの兵士がイラクに常駐するのです。これだけでも、一つの市程度の人口であり、かなりの出費をアメリカに強いるのです。いち早く撤退し、意味のない、非効率な軍事活動を止めることが大事です。撤退後は戦闘活動はイラク軍に任せ、米軍はイラク軍の訓練や空爆など、地上作戦への支援活動が中心となります。なによりも、撤退は素早く決断して実行しないと、だらだらと勝ちにつながらない戦争を続けるだけで、意味がありません。
それから、スタンリー・マクリスタル大将( Gen. Stanley McChrystal)が退役したことを、military.comが報じています。しかし、まだ正式に退職届は出ていませんし、退役日も明らかになっていません。退任の理由はいまさら言うまでもないので省略しますが、別に興味深いことがあります。
マクリスタル大将は昨年、大将に昇進しましたが、この階級で退職できるかは不明です。米軍の規則は、大将の階級で退職し、大将の退職金を得るには、大将を少なくとも3年間務めると定めています。陸軍長官は、2年間在任した大将を、大将のまま退任させられます。匿名の軍当局者は、オバマ大統領がその権限を使うかも知れないと語りました。陸軍長官の権限では、在任が2年に満たないマクリスタル大将を救えないので、オバマ大統領がやるかも知れないということでしょうね。私は、マクリスタル大将は休暇を使い切った時点で、中将として退役すべきと考えます。