アメリカが黄海に空母を派遣か?

2010.6.4

 military.comによると、米政府は天安が撃沈された水域へ空母ジョージ・ワシントンの派遣を検討しています。

 まだ、空母派遣は決定されていないので匿名を希望した防衛当局者2人は、この決定は週末までになされるだろうと言いました。先週、国防総省は韓国と対潜水艦作戦に焦点を置いた2つの軍事演習を計画していると発表しました。ジョージ・ワシントンの派遣は、これらの演習とは別だと、当局者は言いました。


 肝心な部分だけ訳出しました。

 ジョージ・ワシントンは一隻で派遣されるのではなく、支援のための艦船とグループを組み、ジョージ・ワシントン空母打撃群として行動します。水上には見えませんが、潜水艦も一緒に行動します。

 この話が米政府の本気を示しているのか、北朝鮮への揺さぶりが狙いかが気になるところです。また、両方を狙っていることも十分に考えられます。この対応に北朝鮮がどう反応するかが分からないので、決定までにわざと時間をかけ、意図的にそれをリークして、北朝鮮の出方を見定めるわけです。中国にとっても、黄海に米軍に入られるのは、気持ちよい話ではありませんから、やる気を見せない中国への警告にもなります。

 さらに、米中関係に関して、興味深い記事が掲載されています。military.comによれば、中国はロバート・ゲーツ国防長官の訪問を拒否しました。ゲーツ長官は3月に天安が撃沈されたとして北朝鮮が非難された後で、北京を訪問することを望みました。その理由は不明ですが、国防総省当局者は、中国が1月に64億ドル分の武器を販売するのを承認したオバマ政権の決定に不快感を覚えたと考えています。1月以降、中国と米国防総省は関係を悪化させましたが、結びつきは完全に断ち切られませんでした。先月、太平洋艦隊司令官ロバート・ウィラード大将(Adm. Robert Willard)は、ヒラリー・クリントン国務長官の代表団の一員として北京を訪問し、同等の人々と会いました。北朝鮮問題の背後で、米中の関係も悪化する可能性が出てきました。

 さらに、この記事はゲーツ長官は、地域安全保障会議に出席するためにシンガポールを、アフガニスタンへの補給ルートを強化するためにアゼルバイジャンの首都バクーを訪問します。また、新しいイギリスの指導者に会うためにロンドンを、NATOの盟友と会うためにブリュッセルを訪問します。やはり、アフガンへの補給ルートには問題があるようです。キルギス共和国とアメリカの関係に深刻な亀裂が起きている可能性もあります。最近のマナス空軍基地での空中給油停止は、このためかも知れません。


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