テロ志願の若者2人が空港で逮捕

2010.6.8

 military.comによれば、土曜日に、ソマリアの武装勢力「アル・シャバブ(al-Shabab)」でテロの訓練を受けるために出国しようとしたユージャージー州の米人青年2人が逮捕されました。

 要点だけまとめて訳します。興味のある方は全文を読んでください。

 逮捕されたのは、20歳のモハメド・マハムード・アレッサ(Mohamed Mahmood Alessa)、24歳のカルロス・エドゥアルド・アルモンテ(Carlos Eduardo Almonte)です。2人は2006年から当局にマークされており、エジプトを経由してソマリアに行こうとしたところ、ケネディ空港のゲートで逮捕されました。彼らは米国外で人を殺し、重傷を負わせ、誘拐することを計画した罪で起訴されました。有罪判決を下されると、終身刑の可能性があります。

 彼らの準備は明らかに洗練されておらず、ウェイトトレーニングをしたり、ミリタリースタイルのパンツや水筒を買い、暴力的なテレビゲームで遊び、オンラインでテロリストのビデオを見ました。彼らにはテログループとのつながりはありませんでした。

 法執行機関は2006年秋に情報提供を受けて2人を認識しました。以来、長い調査が行われ、2人がアメリカ人に対する聖戦について話すのを私服捜査官が記録しました。アレッサはアメリカ生まれのパレスチナ人の家系、アルモンテはドミニカ共和国生まれでアメリカに帰化しました。2人は3年前にヨルダンに行き、イラクに入国しようとしましたが、ジハード戦士に拒絶されただけでした。2人は数ヶ月間、ソマリアへの旅行を計画し、数千ドルを貯めました。2人は米本土と国際的の両方で聖戦を行いたいと誇示していました。当局は、2人がニューヨークとニュージャージー地区で差し迫った攻撃を計画していなかったとしています。2人は法執行機関の注意をひいたことを早くから知っていました。

 2006年末、捜査官はアルモンテと彼の家族と話をしました。2007年3月にFBIは彼のコンピュータを合意の上で検索し、イスラム教の敵に対する聖戦を主唱する文書を見つけました。昨年11月、捜査官はアレッサがアルモンテに、多くの人たちを殺す必要があると語るのを記録しました。


 アレッサとアルモンテの間抜けなコンビは、法執行機関に知られていることを承知で空港に向かったようです。おそらく、この2人はテロを行う能力もないがために、監視だけで、これまで逮捕されなかったのです。

 現在のこの2人のレベルでは、大したことはできそうにありません。しかし、これを軽く見るべきではありません。オウム真理教も、サリン事件を引き起こすまでは、ただの宗教オタクの集まりで、口だけの集団、何もできないとみなされていました。実際、オウム真理教もアレッサとアルモンテと同じく、大したレベルではありませんでした。ロシアから飛べない軍用ヘリコプターを買ったり、素人には困難な自動小銃の開発を目指していました。軍用ヘリは飛べない代物で、小銃の開発も無理でしたが、サリンだけは成功しました。下手な鉄砲も数を撃てばあたるわけです。このように、今は遊びに等しい聖戦志願者も、いずれは高いレベルに達した者が出てくる危険があります。つまり、この2人みたいに、テロ組織に接触しようとせず、いきなりテロ攻撃を行って成功させる連中が出てくる危険です。誰かがオンラインの「テロリスト教則本」を作って配布するようになり、誰もが簡単に身近なもので武器を作れるようになるかも知れないのです。Adobe社のお陰でドキュメントは簡単にファイル化でき、インターネットで世界中にばらまけます。パソコンにつながったプリンタは至るところにあり、簡易印刷所になり得ます。テロ教則本は簡単に手に入るようになるでしょう。ある朝、メールソフトを立ち上げたら、未知の者から、テロ教則本が添付されたメールが送りつけられていたなんてこともあり得ます。この流れは止められません。

 アメリカに対する敵意を止めるしか、これに対処する方法はありません。くだらない争いを止めて、世界から貧困を撲滅したり、科学技術を発展させて、地球温暖化を防ぐとか、隕石が地球に衝突するのを防ぐ方法を見つけないと、地球は早々に滅んでしまうと、大勢の人たちが考えるようになるしかありません。これを促進するにはプロパガンダが有効なのですが、国家のプロパガンダでは不適格で、民間メディアは力不足です。幸運を祈るくらいしか、手はないのかもしれません。


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