海兵隊が分隊支援火器を変更、他2件

2010.7.2
追加 2010.7.3 17:55

 先に細かいニュースを3件紹介します。あとで、さらに記事を追加する予定です。

 military.comによると、また能力不足で海軍将校が解任されました。military.comによると、ノーフォーク海軍工廠の指揮官、ウィリアム・ケイストラー大佐(Capt. William Kiestler)は、1年間の勤務の後で、能力不足を理由に解任されたとのことです。

 military.comによれば、中央軍に代理の指揮官が指名され、ジョン・R・アレン海兵中将(Lt. Gen. John R. Allen)が着任することになりました。アレン中将がどれくらい代理指揮官を務めるかは不明です。彼の経歴については記事を参照してください。

 military.comによれば、海兵隊が、4個歩兵大隊と1個軽装甲偵察大隊で、M249分隊自動火器(M249 squad automatic weapon)を、ヘッケラー&コッホ社(Heckler & Koch)のM27歩兵自動ライフル銃(M27 Infantry Automatic Rifle)、約450丁へ置換します。これはM27のこれまで行われてきた運用試験で確認したことを最終的に確認するものです。M27は軽量で正確に射撃できますが、M249が持つハイパワーを失うことになるという懸念が出されていました。当局は、M27が30発弾倉を装着しているとき、M249の200発のベルト式弾倉ほどの大容量ではないことを認識しています。50発、100発弾倉も選択肢に入っていますが、テストの最初の段階では海兵隊員は30発弾倉だけを使用します。より多くの弾薬供給源は選択肢として残されており、それは別のテストが必要です。


 弾薬未装填の場合M27は7.9ポンド(3.58kg)、M249は17ポンド(7.7kg)です。運用試験に関与した海兵隊員は、M27はM16A4によく似ていて、非常に快適であり、操作性と携帯性がM249よりも高いと述べました。M27の持続的発射速度(sustained rate of fire・意味については文末の説明を参照のこと)は毎分65発、M249は85発ですが、その分、正確に撃てると当局は主張しています。海兵隊は4〜6ヶ月の訓練を経て、11月にM27を実戦配備しようとしています。現役の3個歩兵大隊の各中隊と予備役の1個歩兵大隊は28丁のM27を受領し、M249の銃手全員に1丁、追加の1丁が部隊に与えられます。これらの中隊は必要に応じて指揮官により強力な火力を与えるためにM249を6丁受領します。軽装甲偵察大隊はM27を14丁受領し、M249は保持しません。海兵隊はM27を4,476丁購入し、M249を10,000丁から8,000丁へ減らす予定です。また、2011年後半までに、本格的な生産に入るかどうかを決めることを望んでいます。


 また、米海軍で能力不足による将校の解任がありました。それも、指揮官クラスなのが驚きです。以前にも、同様の事件を紹介しましたが、繰り返される解任劇には首を捻るしかありません。人事が縁故主義にでも陥っていて、不適格な人物が指名される悪癖でもあるのかと疑います。

 中央軍司令官指名については、特にコメントはありません。ここではアレン中将の名前(できれば経歴も)を頭に入れておきましょう。

 申し訳ありませんが、分隊支援火器の記事で、M27のリンク先はドイツ語のページです。

 歩兵部隊は、基本装備として小銃を持ちます。現在、この小銃はライフル銃の性能と連射機能を兼ね備えた突撃銃なのが普通です。小銃を持つ小銃手に加え、彼らを支援する分隊支援火器が、分隊か小隊に数丁配備され、それを運用する銃手が置かれます。分隊支援火器は強力な火力と連射機能で弾幕を張り、敵の突撃を阻止します。分隊支援火器の照準線を交差するように配置して「十字砲火」を構成すると、この弾幕を阻止するのは不可能になります。

 かつては、分隊支援火器は小銃手が持つよりも強力な火力を持ち、操作するのに2名が必要でした。

 M249やM27の銃弾はM16と同じく、口径が5.56mm、薬莢長45mmのNATO弾です。それ以前の分隊支援火器は、口径が7.62mm、薬莢長51mmで、より強力な銃弾を使っていました。

 現在は操作員は1名が普通です。さらに、ベルト式で数百発を持つ弾倉を捨てて、弾倉だけになりました。これはM27が銃身を交換できず、連射によるオーバーヒートに対処できないためです。このため、M249のように長時間、発砲を続けることはできません。これにより、十字砲火の利点は減少することになります。

 海兵隊がこうした問題を理解しながらも、分隊支援火器を置換しようとするのは、従来想定していた正規軍との戦いと、現在の対テロ戦では、戦いの内容が違うためでしょう。M249のような火力よりも、柔軟に運用できるM27のような武器の方が使いやすいというわけです。これからは遠隔地に戦闘前哨を設けることも減るので、M249のような武器の出番は減るのです。市街地ではM27の方が使いやすいわけです。M249はこれからも使い続けられ、両者は併用されることになります。つまり、これは現在の戦闘の性質を反映したことだと言えます。

 それにしても、またドイツ製の武器が採用されたわけで、アメリカの武器メーカーの不振はさらに深まりそうですね。

 ※文中の「持続的発射速度」とは、通常の「発射速度」とは違い、銃が故障することなく、永続的に発射し続けられる発射速度のことをいいます。普通、分隊支援火器は毎分500〜1000発程度を発射できるものです。


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