アルカイダが英語版の広報誌を刊行

2010.7.2


 military.comによると、火曜日にアルカイダがインターネット上に英語のオンラインマガジンを公表しました。

 「Inspire」と呼ばれるマガジンは、イエメンのアルカイダによって製作されています。ブルッキングス研究所研究員で元CIAのブルース・リーデル(Bruce Riedel)は、「この新しいマガジンは、明らかにフォート・フッド基地の殺人者やタイムズスクエアの爆弾犯になり得るアメリカやイギリスの野心的なジハード戦士を対象にしています」と言います。テロ組織のウェブサイトを監視し、このマガジンのコピーを入手した「SITE Intelligence Group」によれば、公開はスムーズには行きませんでした。マガジンは67ページありますが、最初の3ページ以外は文字化けしていました。目次には「ママのキッチンで爆弾を作ろう」のような、キッチンにあるものを使って爆弾を作る方法に関する、短いながらも詳細で、読みやすいマニュアルが含まれています。「我々は読者が我々に記事、コメント、提案を寄稿することも求め、奨励します」とマガジンの前書きは書いています。アルカイダのプロパガンダの中心はアンワル・アル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)です。彼は、アメリカ生まれで、現在はイエメンに住んでいる急進的な聖職者です。


 オンラインマガジンとのことですが、アドレスとか、入手方法などは記事には書かれていませんし、今のところ、検索しても見つかっていません(記事にはマガジンの写真が載っています)。

 しかし、これには驚かされました。以前から言ってきたことが現実化したかのようです。対テロ戦は新しい段階に入ったのかも知れません。

 アルカイダがインターネットでテロの方法をテロ志願者に教え、一匹狼方のテロリストが事件を起こす危険性を以前から指摘してきました。今回公表されたマガジンはまだ未熟なもののようですが、これが次第にレベルアップして、本当にテロ事件を起こすようになる危険を無視すべきではありません。

 爆弾の作り方くらいは、アルカイダに教えてもらわなくても、自分でも勉強できます。しかし、これが「アルカイダ」というブランドの下で流布されると、テロ志願者の意欲に火をつけ、本当にやってみようという話になってしまうのです。こうした情報が繰り返し、流布されていくと、いつかは実行する者が出てきます。

 以前から指摘しているように、テロの根絶にはプロパガンダが重要な役割を果たします。ところが、プロパガンダをうまく利用しているのはアメリカではなく、アルカイダの方です。それどころか、現地指揮官は、メディアへの対応を誤り、いわばプロパガンダに負ける形で解任される体たらくです。そんな子供みたいな軍人を、米大統領はわざわざ大将の階級で退任させて甘やかしています。アメリカにはプロパガンダが重要だという認識すらないのです。その間隙をぬってアルカイダがオンラインマガジンを刊行させました。国際社会はあらゆる面でアルカイダの遅れをとっています。残念ですが、これではアルカイダの方が戦いに優れていると言わざるを得ません。


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