アフガンはいまだに電気不足

2010.7.21


 今朝紹介した、アフガン復興の問題について論じた記事について書きます。military.comの記事は、先日、カブールで行われたアフガン復興会議を皮肉るように、発電所建設に関する問題点を指摘しています。

 カブールの住民50万人に電気を供給する1億ドルのディーゼル発電所は、建設が1年間遅れたために、建設費が3倍(3億500万ドル)になりました。アフガンは、この発電所が稼動する前から、より安い電力を隣国から買えたので、発電所は少ししか稼働していません。電気を利用できるアフガン人は、2001年の6%から10%へあがっただけです。これは、今年末までに、都市部で65%、過疎地で25%に電気を供給する開発目標を大幅に下回ります。アフガンのオマール・ザキワル財務大臣(Finance Minister Omar Zakhilwal)は、「アフガンにおける成功の指標は間違った指標でした。それは出費でした。それは結果ではありません。影響ではありません。電力については、それはとりわけ真実でした」と言います。

 2007年、アメリカはカルザイ大統領の再選に間に合わせるために発電所の建設を急ぎ、多忙で非現実的なタイムテーブルがコスト増加を招きました。これはカルザイ大統領への不満を高めました。あまりにも高額で得難いため、主要な電力源としてのディーゼルへの依存を減らすことにひとつの焦点を置いたエネルギー戦略を進展することでアフガンを支援するのに、アメリカなど国際社会は、数年を費やしてきました。その目標は、隣国からより安い電力を買い、水力、天然ガス、石炭などの天然資源を開発することでした。これらすべては、カブール郊外に発電所を建設するという、米・アフガン当局の決断で却下されました。アメリカは、粗悪な再建計画で数百万ドルの血税を浪費したことで、すでに非難されている米請負業者に計画を引き継ぎました。アメリカは、18基のディーゼルエンジンに1億900万ドルを、単にそれらのいくつかにサビと腐食が見つかったために、発電所の元の建設費よりも多くを支払いました。6年間以上、数百万ドルをかけて、北部の天然ガス田を調査したにも関わらず、電力の実質的な資源にする計画はありません。すでに9,000万ドルをかけた南部の水力発電は、長引く闘いによって遅れています。

 すでに16億ドル以上がエネルギー計画に費やされているのに、480万人の世帯中、国の送電網につながっているのは、わずか497,000世帯だけです。送電網は、電気が使える地域の、接続しないパッチワークのようで、国の異なる地域、一部は水力発電、一部は隣国から輸入、一部はディーゼル発電で供給されています。

 アフガン人は、自宅、ホテル、企業、大使館や国際組織ですら、自前の発電機に頼っています。一部は発電した電気を隣人に売ります。電気の利用者は、電球一個につき、月額2.60ドルを発電機の所有者に支払います。テレビを動かすために、月額約11ドルかかります。アフガン人の平均収入は日額1ドル強です。

 カブールの発電所は今年5月まで、アフガン政府に引き渡す準備ができませんでした。現在、発電所は短時間稼動するだけで、約束された1億ワットのごく一部だけをを生み出します。


 アフガン人の生活に関連する部分だけを簡単に訳しました。請負業者の腹の立つ話も記事に書かれていますが、それは省略します。他にも様々な情報が書き込まれているので、ぜひ原文を読んでください。

 この記事に書かれている状況は、アメリカが2003年にイラクに侵攻した直後に起きた問題とほとんど変わっていません。特需に群がる不良企業に貴重な財源がばらまかれ、支援活動が進展しないのは、戦後処理につきまとう問題です。所詮、遠くの国の話で、どの国の人間たちも、アフガンの問題など構っている暇はなく、適当に格好つける程度の「お付き合い感覚」でやっているに過ぎません。

 その上で問題だと思うのは、国際社会が現在のような、発展途上国への武力介入と民主主義の導入、復興支援のやり方について、何の疑問も持っていないことです。特に、国連は国際法を守ることと、アメリカ主導のテロ戦争との狭間で存在価値を自ら貶めています。

 質の高い支援活動は、国家よりもNGOの方に、より可能性があると、私は考えます。国家は、もともとが自国を守るための組織であり、他国を本気で支援できないのです。これは大きな問題で、ここでは論じ切れません。時間もないので、ここまでにします。


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