「Wikileaks」の件について、現段階までに言えることを書きます。ワシントンポストによれば、Wikileaksが公表した書類の中に、北朝鮮がタリバンに売った遠隔操作式のロケットによって、米軍のヘリコプターが撃墜された可能性があります。
2005年11月19日、ヒズブ・イスラミ党の指導者グルブディン・ヘクマティアル(Gulbuddin Hekmatyar)とオサマ・ビンラディンの財務顧問とされるアミン博士(Dr. Amin)がイランを発って北朝鮮に行き、アメリカや連合国の航空機に対抗するための遠隔操作式ロケットの契約を結びました。武器の出荷は2006年直後と予測されます。2人は2週間北朝鮮に留まり、12月3日頃にヘルマンド州に戻りました。ヘクマティアルはアフガニスタン東部へ行きました。
約18ヶ月後、CH-47「チヌーク・ヘリコプター」がヘルマンド川を渡った直後にミサイルで撃墜されました。2007年5月30日の報告書は「ミサイルの衝撃が航空機の後部を上へ突き上げ、墜落現場へ急降下すると直ちに炎上し、生存者はなかった」「ミサイル発射の描写、弾薬の規模、飛翔体の威力に基づくと、RPGよりも大きいもの、おそらくは地対空ミサイルだと評価される」と書いています。さらに報告書は携帯可能防空システム(MANPAD)による攻撃を示唆していると書いています。アミン博士という名前は、名字ではなく、報道記事や学術上の書面や本に見出すことはできません。彼が実在するなら、これが確認された最初の機会です。「The Guardian」によれば、アミン博士のフルネームはアミン・アル・ハク(Amin al-Haq)かウル・ハク(ul-Haq)で、2008年1月にラホールでパキスタン軍に逮捕され、その後の消息は不明です。
以下は、該当する公開書面の原文です。
THREAT TO AIRCRAFT IN HELMEND PROVINCE
Organization(s) Involved: HEZB E ISLAMI GULBUDDIN
TEXT: on 19 november 2005, hezb-islami party leader, gulbuddin hekmartyr and dr. amin ((nln)), usama bin ladin,s financial advisor, both flew to north korea departing from an iran. they returned to helmand //geocoord: 3100n/06400e//, afghanistan on approximately 03 december 2005. while in north korea, the two confirmed a deal with the north korean government for remote controlled rockets for use against american and coalition aircraft. the deal was closed for an undetermined amount of money. the shipment of said weapons is expected shortly after the new year. nfi. upon return from north korea dr. amin stayed in helmand, and hekmartyr went to konar, nuristan province
Wikileaksがに公開したデータをうまく閲覧できず、コメントが遅れています。他にも読むべき記事があって、十分にデータの内容を確認できていません。パーマンのコピーロボットが欲しいところです。 ウェブ版のデータには検索機能がありません。HTML形式のデータをダウンロードしたところ、トップページからリンク先へアクセスできず、使えませんでした。CSV形式のデータを表計算ソフトに読み込むには1データが大きすぎました。項目の説明もなく、データベースソフトに読み込む方法を自分で考えなければなりません。ウェブ版を参考にデータベースを作れということなのでしょうが…。
Wikileaksのやり方は2つの点で異例です。それは、資料の量が検証不能なほどに多いこと。個人名の特定を困難にするため、文書に修正を加えたことです。修正した場所が分かるようになっているのかも、現時点では、私には分かっていません。一部修正されなかったデータもあって、米当局はアフガンの協力者が危険にさらされると批判しています。この辺は最も注意すべきことで、Wikileaksのやり方には疑問もあります。内容を精査して、確認が取れたものを順次発表するような方法にすべきだったと思えるからです。これだけ資料が膨大だと、管理に問題が生じる危険があります。必要な情報が欠落しても気がつかないかも知れません。逆に、データの一部をいじっても、我々には確認できないことになります。
正直なところ、今回の暴露事件に、私は困惑気味です。この情報の中に、これまで謎だったことを解明する情報があるかも知れませんが、手が着かずにいます。データを活用してもらうために公表したのなら、もう少し使いやすい方法で提示できると思われました。
とりあえず、ワシントン・ポストの記事についてですが…
CH-47が撃墜されたのは、米国防総省の戦死公報(No. 696-07)で確認できました(該当ページはこちら)。3月30日に、アッパー・サンギン峡谷(Upper Sangin Valley)で准尉2人と下士官3人が死亡しています。このヘリが北朝鮮のミサイルで撃墜されたかは不明ですが、可能性は十分にあります。この報告書が書かれるために、誰から話を聞いたのかは不明です。情報源を危険にさらさないために削除されているのかどうかも不明です。この辺が分かれば、もっとよいのですが。