カルザイ大統領が民間軍事会社に解散命令

2010.8.18

 military.comによれば、月曜日にアフガニスタンのカルザイ大統領が、国内の民間軍事会社を4ヶ月後の11月までに解散させる命令を発しました。

 アフガンおよび国外のセキュリティ・オペレーター(民間軍事会社の武装警備員)に対しては、十分に管理されておらず、無謀で、事実上、法律の外で活動していることに対する不満があがっていました。数万人のアフガンで働く保安請負業者は、最終期限までにアフガンの警察に加入するか、活動を止めなければなりません。ただし、大使館、ビジネス、非政府組織などの国際団体が使用する建物の中で働く者は、建物の中に留まり、内務省に登録する限りは例外とされます。

 この命令はNATO当局からの抵抗にあうと予測されます。米当局者は、4ヶ月という最終期限が現実的ではないと考えています。アメリカは、警備活動を管理、監督するために6月に「タスクフォース・スポットライト」という、2ダースのメンバーで構成される組織を設立したところでした。

 アフガン政府は30,000〜40,000人の保安請負業者が国内にいると見積もっています。アフガン内務省は52社の民間軍事会社に活動を許可しています。米軍によれば、一部の古い契約は無許可の業者と結ばれています。業者の約半数はアフガン人が所有します。約37社、約26,000人の武装警備員は米政府と仕事をしています。その一部は国務省と国際開発の政府組織と仕事をしますが、多数は軍隊のために活動しています。命令は、現在政府と契約する業者は、武器と装備を警察に売るか、国外へ持ち出さなければなりません。ライセンスのない業者の武器と装備は押収されます。


 これはかなり思い切った決断です。軍の補給品を運ぶ車列を警護する民間軍事会社が4ヶ月後にいなくなるわけですから、補給が計画通りに行かなくなるはずです。実際に施行されるかどうかは疑問があります。

 民間軍事会社の無謀ぶりは、このサイトで繰り返し紹介してきました。いまさら言うまでもないほどですが、NATO軍や米軍は彼らの活動がないと、補給活動を継続できません。それほど、民間軍事会社に依存しているのです。そして、アフガン人の民間警備員の大半はアフガンの警察官で、アルバイトとして仕事を請け負っているのです。中には、上官が部下に仕事を強制している場合もあります。戦争による特需には、怪しい業者が群がるのです。

 私はこの命令が実行される可能性はかなり低いと思います。NATO軍と米軍がカルザイ大統領を説得するでしょう。


 

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