ペトラエス大将:兵士には自衛の権利がある

2010.8.5

 military.comによれば、デビッド・ペトラエス大将(Gen. David Petraeus)が、スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)が決めた交戦規定を更新し、民間人の危険があるときの空爆や重火器の制限はそのままに、兵士は自己防衛の権利があると付け加えました。

 「我々は、本当に、純粋に、無辜の民間人の人命損失を絶対的に最小限に引き下げる我々の努力を続けなければなりません」と、水曜日にNATO司令部が出した書面に書いています。この書面の一部は保安上の理由のために公開されませんでした。ペトラエス大将は、このガイダンスが自衛の権利を妨害することは何もないと言いました。「我々は、我々がそうするのと同じく、アフガン人を守ることの重要性を念頭に置き、我々の兵士の安全を確実にするためにすべての資産を使用しなければなりません」。

 NATO軍広報官ヨセフ・ボルツ准将(Brig. Gen. Josef Blotz)は、指令は兵士が2つのことのバランスをとる方法を理解するのを助けるだろうと言いました。新しい命令は、一部の下級指揮官がマクリスタル大将のガイダンスを誤解し、彼らの地域で必要とされるよりも制限したルールを設けたことを暗示します。


 これまでの報道を読んでいて、確かに現場では交戦規定を杓子定規に考えすぎという印象を受けていました。要は、民間人に被害が出なければよいのです。マクリスタル大将が出した指令は「差し迫った危険があり、反撃する必要がある場合にだけ、アフガン人の住居を攻撃できる」であり「民間人がいる場合、アフガン人の住居を絶対に攻撃するな」ではありませんでした。ところが、その後、兵士から出てきた不満は「タリバンが女性や子供を窓や屋根に立たせ、その住居から発砲してきた」といったことでした。この場合でも、差し迫った危険があるわけですから、この住居に対して攻撃することは許されます。もちろん、家全体を砲爆撃すれば民間人が確実に死傷しますから、小火器による攻撃が推奨されます。狙撃できるのなら、タリバン戦士だけを狙撃すべきです。兵士の主張を支持できないのは、攻撃されたときに、発煙弾で敵の照準線を妨害して一時的に攻撃を無力化し、そこから攻撃方法を検討して、より安全な方法を実行する気配がないことです。私なら、単に命令を守るだけでなく、女性や子供を解放した後で、子供に水やお菓子、女性には食糧などを与え、特に母親の支持を集めるようにします。「米兵はタリバンよりも親切だった」と思わせるのです。そうでないと、兵が危険を冒す価値はありません。

 現在は非致死性の武器もあり、それらも活用できるよう、上層部が計らうべきです。催涙弾を使っているという話を聞かないのは気になっています。

 公表された交戦規定が一部機密にされたのは、あまり細かい部分まで知らせると、タリバンにそれを利用される恐れがあるためでしょう。当然の措置ですが、こういう話は意外なところから漏れます。過去にも、米兵のおしゃべりを立ち聞きした人から、機密情報が外部に漏れたことがありました。タリバンが米軍基地に出入りするアフガン人を徴用しようとするのは、こういう情報を手に入れるためです。

 兵が、この新しい規則を聞いて、どう感じるかは、ちょっと心配です。不満がさらに高まるのかどうなのかが知りたいと思います。

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