日系兵士が議会名誉黄金章を受勲

2010.9.21

 military.comによれば、米議会は今月、第2次世界大戦時の日系兵士約6,000人に、議会名誉黄金勲章(the Congressional Gold Medal)を授与する予定です。

 記事を簡単に紹介します。

 受勲するのは、フランスのヴォーキュ山でドイツ軍に包囲されたテキサス第36師団の大隊を救出したことで知られる第422連隊戦闘団の隊員や山本五十六大将の搭乗機を撃墜するのにつながった通信文を翻訳したハロルド・フデンナ(Harold Fudenna・1993年に他界)などです。第422連隊戦闘団は「当たって砕けろ(Go for broke)」のモットーで知られ、第2次世界大戦で最も多くの勲章を得た部隊として有名です。ハワイ出身のダニエル・イノウエ上院議員(Sen. Daniel Inouye)は、大学生の時に志願し、イタリアで戦闘中に右腕を失いました。二世兵士は3分の1だけが生存しています。上院は先月、満場一致で議案を可決し、下院が今週早くに議決をする予定です。フデンナ氏は両親が両親が収容所にいる間に志願して、軍情報部の翻訳家を務めました。

 記事はある逸話を紹介しています。日系兵士とハワイの守備兵が真珠湾攻撃の直後に、オアフの銃座に一緒に配置されていました。彼らは混成語のピジン語(Pidgin)で会話しました。
 守備兵が尋ねました。
 「おい、奴らが来たら、誰を撃つつもりだ?、奴らか俺か?(Eh, if dey come, who you going shoot? Dem or me?)」
 日系兵士は答えました。
 「バカだな、誰のことを言ってる。俺はお前と同じアメリカ人だ!(Who you t'ink, stupid? Me j'us as good American as you!)」


 議会名誉黄金勲章は、米連邦議会が民間人に授与する最高位の勲章の一つで、ダライ・ラマ14世も受勲しています。普通は個人が受勲しますが、アフリカ系初の飛行隊で「タスキージ・エアメン(Tuskegee Airmen)」の名称で知られる「第332航空群」や女性だけの飛行隊「(Women Airforce Service Pilots: WASP)」など、部隊員がまとめて受勲したこともあります。WASPの人数が1,074人といわれますから、一度に6,000人が受勲するのは、ひょっとして初めてかも知れません。(過去の受勲者リストはこちら

 日系人はアメリカの歴史の中で大きな役割を果たしてきました。第442連隊戦闘団の奮戦は有名ですし、2003年のイラク侵攻に反対したエリック・シンセキ陸軍大将など、日本人が誇りに思うべき人物を生み出してきました。

 今回の受勲は、第2次世界大戦の後始末のようなものです。すでに、第422連隊戦闘団は、殊勲十字章を受けた21人が2000年に名誉勲章にアップグレードさるという厚遇を受けています。その上に、議会名誉黄金章を受勲するのですから、これは大変なことなのです。これは第2次世界大戦中に、日系人が危険だとして収容所に入れたことへのアメリカ社会の償いでもあります。こうした動きは、次第に原爆投下に対する謝罪へと、将来つながっていくはずです。日系人だけの事件ではなく、日本人もこの機会を大事にすべきです。



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