気象観測を海賊攻撃の予測へ応用

2011.1.27


 military.comによれば、シアトルで今週開かれた全米気象科学会議で、3,500人の科学者の1人が海賊と気象の関係を論じました。

 研究を発表したのは、シアトル出身でモントレーの海軍研究所(the Naval Research Laboratory)の応用数学者、ジェームズ・ハンセン(James Hansen)は言いました。

 海賊の攻撃の報道は減ったものの、問題は悪化しているとハンセンは言います。昨年、450件近くの攻撃があり、53隻の船が捕獲され、1,181人の乗員が人質になりました。経済への影響は年間100億ドルです。海賊の拠点と彼らが好む目標地域の大まかな位置を知っていても、海軍とその他のパトロール船にとって、適切な場所に適切な時にいるのは困難です。「インド洋は本当に広大です」。

 海軍は、攻撃の危険が高い時にパトロール船に指示し、商業船に警告を出すのを助けられるかを証明するために、ハンセンのモデルを来月テストし始める予定です。

 プロジェクトは、風、波、情報提供者、監視、彼らの小型スキフがどれだけ移動できるか、彼らの襲撃の戦術、襲撃のタイミングといったその他の海賊の習慣から収集した情報を統合します。モデルを動かして、最も危険が高いエリアを示すマップを作ります。船の航行に関するリアルタイムの情報を追加すると、海賊が狙いそうな標的を特定できます。「それは竜巻の警報に似たものです」とハンセンは言いました。誰もがオクラホマ州の春に竜巻が急増することを知っています。しかし、住人が知りたいのは、今日竜巻が自分たちの方に来るかどうかです。海賊のモデルは、統計的な確率を地上での観察に統合することで、船の船長と警護部隊に警告のレベルを提供できるかも知れません。荒れた海では活動できない海賊にとって、気象は明らかに重要だとハンセンは指摘します。「彼らは小さな船で動き回っています」。

 2009年の貨物船マーレスク・アラバマ(Maersk Alabama)のハイジャックは4月の穏やかな日に起こったと、マーレスク・ライン社(Maersk Line Limited)の重役、ゴルダン・ヴァン・フック(Gordan Van Hook)は言いました。海軍のシールズが海賊3人を射殺するまで、海賊は船長を5日間人質にしました。ヴァン・フックはハンセンの気象データと諜報の組み合わせは有望に思えると言いました。「論理的です」「海賊の活動が高いと思われる場所を発表するなら、それは価値があるでしょう」。

 世界規模で艦船の追跡を強化することを含む海賊の攻撃を防止する他の技術的なアプローチは、不審船をズームできる人工衛星による監視を統合したと沿岸警備隊の技術顧問、ガイ・トーマス(Guy Thomas)は言いました。一部の海賊はインドの水域まで遠く範囲を拡張する巨大な母船から活動するとトーマスは言いました。

 海賊問題の最終的な解決はソマリアのような不安定な国の経済発展と政治的な安定にありますが、攻撃を減らす技術はアメリカ、ヨーロッパ連合、その他の航行している国が情報を共有する限り一躍を担うことができると、トーマスは言いました。しかし、月曜日のプレゼンテーションでは、ハンセンは海賊に関するアメリカの情報が機密であるため、本物のデータを公開できませんでした。海軍は情報を同盟国と共有することを望んでいますが、連邦法がそれを阻害するかも知れないとハンセンは言いました。


 これはとてもよい手法だと思いました。

 経験的に、海軍も商用船も、穏やかな日に海賊の襲撃があることは知っているはずです。それを科学的に整理して、危険な地域や船を特定する方法は確かに機能すると考えられます。私も、広大な海域のどこをパトロールするかをどうやって決めているのかを疑問に感じていました。単純に決めたコースを回るだけなら効果はありません。ですが、それらを公開すると海賊に知られるので、報道でもあまり報じられていません。一般人が海賊対策の詳細を知ることは困難でした。でも、それなしに海賊対策の是非を考えることはできないのです。こうしたプログラムが機能するのなら、機密情報を知らなくても、海賊対策が合理的に行われていると信じることができます。

 しかし、プログラムの詳細は教えてもらえそうになく、そもそも、関係国間でも情報の共有が難しいのでは、まだ不安感は残ります。機密情報をそのまま公開するのではないので、許可して欲しいところです。このモデルについては、おそらく続報があるはずです。効果がどのように出てくるかに興味があります。



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