カルザイ大統領が汚職大臣の解任を拒否

2011.1.3


 military.comによれば、汚職と無能を理由にしたアメリカの圧力にも関わらず、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)は、元軍閥の長でエネルギー・水資源大臣のイスマエル・カーン(Ismail Khan)の解任を拒否しました。

 秘密の外交記録は、米当局者によって私的に「最悪」と呼ばたカーン大臣が、アメリカと同盟国のプロジェクトにおいて20億ドルを管理する機関の座に留まったことを示しました。アメリカの援助を終結するという脅しにも関わらず解任を拒否したことは、汚職のような緊急の問題に関してアメリカがアフガン指導者に僅かな影響力しか持っていないことを強調します。国務省の書簡はカルザイ大統領が2009年の再選直後に組閣を行った時に書かれました。カブールの米大使館当局者が書いた2通の国務省報告書によれば、米大使カール・アイケンベリー(Ambassador Karl Eikenberry)はカルザイ大統領に、かつて強力なムジャヘディン指揮官だったカーン大臣を解任するように圧力をかけました。これらは先月、WikiLeaksによって開示されました。2009年12月19日付けで、アイケンベリー大使の名前で書かれた内部に配信された覚書はカーン大臣を、閣僚たちのための「カルザイの最悪の選択」と描写しました。

 カーン大臣に対する懸念は2004年に彼が省を掌握した直後に表面化しました。省内の問題を特定するために雇われたコンサルタントは、汚職はアフガンの電気システムから毎年1億ドル以上の損失を与えたと見積もりました。カーンは大臣になる前にも問題を起こしました。2003年にヘラート州の知事として、毎月の通関手数料数百万ドルを中央政府へ提出することを拒否しました。現在アフガン当局者に必要なカーンの財産開示書には、ヘラート州の2件の家、ホテル、庭園、現金240,000ドルがあります。彼は政府の月給3,650ドル(食事手当1,250ドルを含む)、年間3,000ドルのレンタル収入を報告しました。カーン大臣の元副官で、現在はアフガンの電気公社を率いるジャリル・シャムズ(Jalil Shams)は、同社の長期的な問題と考えられている大部分の幽霊職員は給与支払名簿から取り除かれましたが、遊ばせないでおくためだけの無意味な仕事は残っていると考えています。同省は年間に大金を扱いますが、電気料金よりも遙かに少ない収入しかないと報告しています。カーン大臣は電気を提供するために顧客の支払よりも多くかかったと説明しました。米国国際開発庁の報告によると、約20%の不足は標準以下の配給と伝送システムにより電気が失われた結果です。国際的援助者の報告書によると、広範な汚職と管理不行き届きはより悪い問題です。調査者は、入金や出金の理由を特定する書類のない100以上の銀行口座を発見しました。


 要点を簡単に紹介しました。コメントも簡単にします。

 これはWikiLeaksがもたらした成果と言えそうです。また、明らかに記事に書かれた汚職の実態は十分ではなく、もっと詳細な情報が欲しいところです。

 カルザイ大統領にすれば、国をまとめていくためには軍閥の協力が必要で、こうした人物も縁を切るわけにはいかないということです。米国務省もその辺の事情は分かっているでしょう。

 日本人にとっても、こういうカルザイ政権の中の問題人物に関する情報は重要です。我々はアフガンに多額の援助を行っているからです。



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