オーナーズ大佐が艦長を解任

2011.1.5


 空母エンタープライズの副長だった時に不適切な艦内用ビデオを制作したオゥーエン・オーナーズ大佐(Capt. Owen Honors)が艦長を解任され、海軍のサイバー戦部隊の参謀長に配置換えになりました。

 military.comは、エンタープライズ艦長に賛否両論が寄せられているという記事、艦長は解任される見通しとの記事を掲載しました。その後、新しい艦長が着任したという記事が掲載され、2番目の記事は役目を終えたと判断され、これ以上名誉ある将校を批判すべきではないという判断のためか、ヘッドラインから削除されたようです(記事そのものは残っています)。

 新しい艦長は空母アイゼンハワー(USS Eisenhower)の元艦長で、現在海軍サイバー部隊参謀長のディー・ニューボーン大佐(Capt. Dee Mewbourne)に決まりました。エンタープライズは数週間で派遣されることになっています。

 削除された2番目の記事に問題の中心が書かれているので、以下に紹介します。

 米海軍はオーナーズ大佐(Capt. Owen Honors)は、エンタープライズの艦長に留まるも、彼の海軍での軍歴は終わったも同然だと軍事専門家は言います。

 アメリカ艦隊総軍はビデオに関する調査を開始しました。軍事専門家は、過去に解任された将校は僅かしかいないので、オーナーズ大佐がその座に留まることはありそうにないと言います。エール大学の法学教授で、国立軍司法研究所所長(the National Institute of Military Justice)のユージーン・フィデル(Eugene Fidell)は「ビデオを見た後で、私は彼がどうやってその座に留まるのか分かりませんでした。彼は戦闘艦を運営してるんです。大学の学生会館じゃありません」と言いました。military.comの記者で、(元戦闘機パイロットの)オーナーズ大佐と共に飛んだ経験を持つワード・キャロル(Ward Carroll)は「残念ながら、彼は押してはいけないボタンを押しました」と言いました。フィデル教授は「特に、派遣を考えれば、私は彼はすぐにでも解任されると考えます」と言いました。

 オーナーズは恐らく懲罰委員会、退役させられる前の提督の面前での海軍の懲罰の審問会にかけられるでしょう、とフィデル教授は言いました。降格される可能性もあります。キャロル記者の最大の疑問はオーナーズ以外の誰か、すなわち当時の彼の上官がビデオのために処罰されるかだと言いました。海軍広報官は海軍の調査はオーナーズだけに限定されないと言います。オーナーズが4年前に適切に処罰されたかどうかが問題です。海軍はオーナーズの上司が2007年初期にビデオ制作を止めるように言ったことを認識しています。オーナーズはインタビューの要請に回答していません。当時のオーナーズの上司たちとも連絡が取れていません。


 海軍が調査を終えたら懲罰委員会が行われ、指揮官による懲罰がオーナーズ大佐に下るでしょう。例によって、あまり傷が大きくならないうちに、オーナーズ大佐は退役するでしょう。懲罰がある場合でも、この程度なら名誉除隊となり、恩給に影響は及びません。さっさと民間企業に天下りして、第二の人生をスタートするのが得と考えるのが米軍人の常です。

 フィデル教授の言うとおり、空母は無秩序な学生会館ではありません。学生会館でならトイレットペーパーのぶつけ合いをしても許されますが、空母はそうは行きません。船が赤道を通る時に行われる赤道祭でも、最近は新兵いじめの温床になりかねなため、過度に隊員に触ることは禁じられています。赤道祭が初めての隊員は何か試練を経験することになっていますが、度が過ぎたものにならないように米海軍は注意しているのです。洋上任務につく海軍将校は若者を指揮しているのです。彼らが道を踏み外さないように監督するのは当然です。インターネットで広がっている擁護論は無責任なもので、検討するに値しません。



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