帰還兵の障害で原因の切り分けに朗報

2011.1.6


 military.comによれば、爆発やIEDにさらされたことによる軽度の頭部外傷や脳震盪が数週間や数ヶ月で徐々に消えていくことが分かりました。

 ミネソタ州退役軍人医療システム(the Minneapolis VA Health Care System)の心理学者メリッサ・ポルスニー(Melissa Polusny)と同僚らは2006~2007年にイラクに派遣されたミネソタ州軍の兵士953人の派遣中とその後を調査しました。研究によれば、帰還兵が記憶や集中力の障害のような長期間に渡る症状を示した時、それは脳震盪よりもPTSDが原因である可能性が高いのです。しかし、研究者たちは戦闘が複数の方法でその痕跡を残すという強い証拠も見出しました。帰還後1年間で、42%が「問題のある飲酒」をしていると報告されました。PTSDの率はその年に2倍近くの8%~14%へ、鬱病は9~18%へ倍増します。

 しかし、ポルスニーは最も驚かされたのは脳震盪に関する発見だったと言いました。「我々が臨床医たちと一緒に取り組んだことは、彼らがPTSDにかかっているとするならば、何が帰還兵へ影響しているかということでしたが、彼らが爆発にさらされていることも報告されました」。恐怖はPTSDだけよりも、より破滅的になり得る組み合わせだたっと彼女は言いました。軽度の頭部外傷を持つ帰還兵の症状は、PTSDのどの症状よりもよいと、彼女は言いました。それは、脳震盪・軽度の頭部外傷だけでは長期間の障害の一因とはならないをことを示す最初の研究だと考えられていると、報告書の著者たちは報告しました。ポルスニーは、これは彼らの症状を治療できることを意味する吉報だと言います。「帰還兵が民間の生活に戻る調整において問題を持つのなら」、それはおそらくは軽度の頭部外傷が原因ではないと彼女は言います。「そうした派遣後の問題を促進するものが本当にPTSDならば、我々はその原因を治すべきです」。

 研究の一環として、ポルスニーはイラクにいる間、彼らが2007年に16ヶ月間の任務を終える直前に兵士に質問をしました。その後、彼女は同じ質問を1年後に行いました。奇妙にも、イラクにいる内は軽度の頭部外傷は9%に過ぎませんでしたが、1年後には戦闘中に頭部外傷を負った者は22%になりました。彼女は一部の兵士たちはイラクにいる間は怪我を認めるのを言いたがらないけど、帰国すると言いやすくなるのではないかと推測しました。調査は、彼らが頭部外傷やPTSD診断を受けたかどうかに関係なく、集中力の欠如、被刺激性、頭痛とその他の身体的な病気が帰還後の軍隊の間で広範囲にわたることを示しました。頭部外傷は他よりも高いPTSDの発生率を持っており、全体の14%に比べて約30%です。しかし、彼女はそれらは怪我自体ではなく、他の要因だろうと言います。

 戦闘が始まり、近くで爆発が起こると大勢の兵士が頭部外傷を受けます。それらの多くは軽傷です。その結果、軍隊は帰還兵を外傷性頭部外傷と診断します。「しかし、我々の結論は脳震盪の診断は、帰還兵の援助に必要なことを正確に特定しないことを示唆します」と著者たちは書きました。ポルスニーは、民間人の生活の中で、多くの人たちは比較的短期間で脳震盪から回復する傾向があると言います。研究はこれは戦闘においても真実であると、彼女は言いました。報告書は「the Archives of General Psychiatry」にあります。


 報告書の全文は上のサイトで有償で提供されています。

 以前にも負傷した直後にモルヒネを用いた兵士はPTSDになりにくいという研究報告があり、これは恐怖や苦痛をモルヒネを使うことで体験しなかったことが影響しているらしいということは分かっていました。頭部外傷とPTSDは症状は似ているものの、原因は別だということも言われていました。今回、それが明確な数字になって出てきたわけです。素早く治療法の選択ができる点でも大きな進展です。



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